有線LANだけが備わっており、無線LAN機能が付いていないマザーボードがある。これらのモデルはWi-Fiが使えない。無線接続を利用したいならWi-Fi子機を用意する必要がある。
Wi-Fi子機はUSBやPCIeスロットに取り付けるだけで使え、無線LANのないPCでもネットに接続できる。
自作PCやデスクトップPCでLANケーブルをルーターに接続しただけでWi-Fiに接続できるわけではない。単にケーブルを繋ぐだけでは無線通信にならない。
有線LANはLANケーブルを挿せばネット接続できるが、無線機器のないマザーボードで無線通信を行うにはWi-Fi子機が必須である。
Wi-Fi子機とは
Wi-Fi子機は、無線LANの電波を受信するための小型デバイスである。PCに内蔵された無線機能を補ったり、古い規格から新しい規格に切り替えたりするときにも役立つ。
- USBタイプ:挿すだけで使え、ノートPCでも持ち運びやすい。
- PCIeタイプ:マザーボードに取り付ける。安定性が高く、ゲームや動画配信に向く。
- 内蔵タイプ:一部のマザーボードやノートPCには最初から組み込まれている。
使い方
使い方は難しくない。
USB端子やPCIeスロットに差し込み、ドライバを入れる(多くは自動認識される)接続先のWi-Fiを選んでパスワードを入力する。
これだけで無線接続が使えるようになる。
選び方のポイント
子機を選ぶときは、まず対応規格を確認する。Wi-Fi 5やWi-Fi 6に対応していれば高速で安定した通信が可能だ。次に周波数帯を見る。2.4GHzは遠距離向き、5GHzは近距離で速度が出やすい。アンテナ付きなら電波を拾いやすく、OS対応も忘れず確認したい。
最近の子機には便利な機能も多い。デュアルバンド対応なら混雑した電波を避けられる。MU-MIMOに対応していれば複数端末で同時に快適につながる。さらにBluetoothを内蔵しているモデルもあり、イヤホンやキーボードの接続にも使える。
日本で手に入るWi-Fi子機メーカー一覧
Wi-Fi子機は国内外のメーカーから販売されている。日本で入手しやすい代表的なメーカーを国籍とあわせて紹介する。
1. バッファロー(Buffalo) – 日本
国内メーカーとしてサポートが充実しており、初心者でも安心して使える。USB子機やPCIeカードなどラインナップが豊富で、Wi-Fi 5やWi-Fi 6に対応したモデルも揃っている。
例:WLI-UC-GNM2、WSR-3000AX4S対応USBアダプタ
WiFi 無線LAN 子機 アダプター コンパクト 866Mbps/433Mbps 11ac/n/a/g/b USB 2.0 WPA3 WI-U2-866DM/N
WiFi 無線LAN 子機 アダプター 外付けアンテナ 866Mbps/433Mbps 11ac/n/a/g/b USB 3.2 Gen1 WPA3 WI-U3-866DHP/N
Wi-Fi 6E 11ax 6GHz 無線LAN 子機 USB3.2 (Gen1) 対応 内蔵アンテナ タイプ ドライバー内蔵 WI-U3-2400XE2/N
2. アイ・オー・データ(I-O DATA) – 日本
USBタイプを中心に展開し、Windows向け製品が多い。Linux対応モデルも一部あり、幅広い環境で使いやすい。家電量販店や通販サイトで手軽に入手できる。
例:WN-AC867U、WN-TX4266GR
アイ・オー・データ IODATA Wi-Fi6(IEEE802.11ax)対応 Wi-Fi子機 USB Aポート USB3.2(Gen1) WPA3対応 日本メーカー WN-DAX1200U
アイ・オー・データ I-O DATA WiFi子機 MU-MIMO対応 小型 11ac USBアダプター 867Mbps+300Mbps 日本メーカー WNPU1167M
3. エレコム(ELECOM) – 日本
小型USB子機を多く扱い、リーズナブルな価格帯から選べる。Wi-Fi 6対応モデルも登場しており、最新規格を取り入れたい人にも適している。
例:WDC-867DU3S、WDC-AX3000U
エレコム Wi-Fi 無線LAN 子機 11ac/n/g/b/a 867Mbps 5GHz/2.4GHz USB3.0 ビームフォーミングZ MU-MIMO Windows11/10 Mac 対応 ブラック
エレコム WiFi 無線LAN 子機 Wifi5 433Mbps+150Mbps 5GHz 2.4GHz USB2.0 USB-A 11ac/n/g/b/a WPCボタン付き ハイパワーアンテナ付き
エレコム Wi-Fi7 無線LANアダプタ 2880 + 2880 + 688Mbps USB3.0対応 WDC-BE28TU3-B
4. TP-Link – 中国
世界的にシェアが高く、価格を抑えながらも性能のバランスが良い。USBタイプからPCIeカードまで幅広く揃い、Linux環境で動かしやすい点も魅力。
例:Archer T3U、Archer T4U
TP-Link WiFi 無線LAN 子機 AC1300 867Mbps + 400Mbps Windows 11/10/8.1/8 対応 デュアルバンド メーカー保証3年 wi-fi 子機 無線lanアダプタ Archer T3U Nano/A
TP-Link WiFi 無線LAN 子機 wifiアダプター USB3.0 AC1300規格 867 + 400Mbps 11ac対応 デュアルバンド ハイパワーアンテナ搭載 MU-MIMO メーカー保証3年 Archer T3U Plus/A
5. ASUS – 台湾
ゲーミング向けの高性能モデルが多く、安定性と速度に強みがある。PCIeカードタイプも豊富で、Wi-Fi 6対応モデルが主力になっている。
例:USB-AC68、PCE-AX58BT
ASUS USB無線LAN子機 USB-AX56 WiFi6 デュアルバンド1201 +574 Mbps 外部アンテナx2/USB3.2 Gen1接続/WPA3によるネットワークセキュリティー
ASUS AX1800 PCIe WiFiアダプター (PCE-AX1800) – WiFi 6 Bluetooth 5.2 超低遅延ワイヤレス 外部アンテナ2個 合計データレート最大1800Mbps対応 WPA3ネットワークセキュリティ OFDMA MU-MIMO
6. Netgear – アメリカ
高速通信を重視したモデルが多く、ハイエンド向けに人気がある。USBタイプとPCIeタイプの両方があり、安定性を求めるユーザーに選ばれている。
例:A6210、Nighthawk A7000
WiFi 6E 6GHz対応 無線LAN 子機 アダプター AXE3000 USB 3.0 対応 パソコン対応 トライバンド A8000 無償メーカー3年保証
国内メーカー(Buffalo・I-O DATA・ELECOM)はサポートや入手のしやすさで安心感がある。一方で、海外メーカー(TP-Link・ASUS・Netgear・D-Link)は性能またはコストパフォーマンスを重視した選び方だ。
自作パソコンでWi-Fi子機が必要になるとき
自作PCでは、すべての環境でWi-Fi子機が必須になるわけではない。LANケーブルを使えるなら無線は不要だが、以下のようなケースでは導入を検討した方が快適に使える。
1. マザーボードにWi-Fi機能がない
コストを抑えたマザーボードは無線LANを省略していることが多く、有線LANポートしか備えていない。この場合、Wi-Fi接続したいなら子機を追加する必要がある。
2. 内蔵Wi-Fiが古い、または電波が弱い
古い規格のWi-Fiでは通信速度が遅く、接続も不安定になりやすい。高速なWi-Fi 5やWi-Fi 6を使いたいときや、より強い電波を拾いたいときは子機を使って強化できる。
3. Bluetoothを使いたい
一部のUSB Wi-Fi子機はBluetooth機能も搭載している。ワイヤレスイヤホンやゲームコントローラーを接続するなら、このタイプを選ぶと便利だ。
4. LANケーブルを引けない
部屋の構造や設置場所の関係で有線LANが使えない場合もある。デスクトップPCを部屋の好きな場所に置きたいなら、Wi-Fi子機があればケーブルなしでネットに接続できる。
有線接続で十分ならWi-Fi子機は不要だが、無線接続やBluetoothを使いたいときには導入したくなるだろう。
USB 2.0とWi-Fi子機の相性
USB 2.0のポートでもWi-Fi子機は動作する。しかし規格の上限が480Mbpsのため、利用環境によっては速度や安定性に差が出る。とくに高速通信を想定している場合は注意が必要である。
USB 2.0での通信速度
USB 2.0は理論値で480Mbpsだが、実際の速度は200〜300Mbps程度にとどまる。標準的な2.4GHz帯のWi-Fiであれば十分に使える範囲であり、ウェブ閲覧や動画視聴など軽めの用途では大きな支障はない。
制約と注意点
5GHz帯やWi-Fi 5/6といった高速通信ではUSB 2.0がボトルネックになる。光回線のように1Gbps以上の通信を引いていても、その速度を十分に引き出せない。また、USB 3.0以上に比べて安定性も劣るため、ゲームや大容量ファイルの転送には向かない。
価格帯と選び方
Wi-Fi子機の価格は、対応する規格(Wi-Fi 4/5/6/6E)、接続方式(USBかPCIe)、さらにBluetoothの有無やアンテナの形状によって変わる。目安となる価格帯を整理すると次の通りである。
低価格帯(1,000〜2,000円)
手軽に入手できる小型モデルが中心で、2.4GHz専用が多い。通信速度は150〜300Mbps程度で、メールやネット閲覧用に向く。エレコムやバッファローから販売されている。
中価格帯(2,500〜4,000円)
2.4GHzと5GHzの両方に対応するデュアルバンドモデルが主流。Wi-Fi 5に対応し、867Mbpsクラスまで使える。Linuxで使える機種もあり、TP-Link Archer T3Uなどが代表例である。
高価格帯(4,000〜7,000円)
外付けアンテナを備え、接続が安定する。Wi-Fi 6対応で2.4Gbpsクラスに届く製品もあり、ゲームや高速回線で力を発揮する。TP-Link Archer TX20U PlusやASUS USB-AX56が該当する。
PCIeカードタイプ
中価格帯(4,000〜7,000円)
マザーボードのPCIeスロットに直接装着するタイプ。USBより安定して動作し、Bluetooth機能付きのモデルもある。Wi-Fi 5対応が中心。
高価格帯(7,000〜12,000円)
Wi-Fi 6や6Eに対応し、複数アンテナを搭載することで電波の強度と安定性が高い。ゲーミングPCや動画配信に適し、ASUS PCE-AX58BTやTP-Link Archer TXE75Eなどが代表的である。
選び方の目安
- コストを抑えたいなら 1,500〜3,000円のUSBタイプ
- 安定性や速度を重視するなら 4,000円以上のUSBまたはPCIe
- ゲームや配信など長時間利用するなら 7,000円以上のWi-Fi 6対応PCIe
形状の種類と特徴
Wi-Fi子機は形状によって性能や使いやすさが変わる。自分の用途や設置環境に合わせて選ぶことが大切である。
USBタイプ
超小型(ナノタイプ)
USBメモリより小さい突起だけの形状で、常に挿したままでも邪魔にならない。速度は控えめで2.4GHz専用が多い。
スティックタイプ
親指サイズのUSBメモリ程度で、デュアルバンド(2.4GHz+5GHz)に対応するモデルが中心。Wi-Fi 5を使え、数百Mbpsクラスの速度が出せる。
アンテナ付きUSBタイプ
1〜2本の外付けアンテナを備え、壁や距離に強い。Wi-Fi 6対応モデルもある。
PCIeカードタイプ(内蔵)
拡張カード型(背面アンテナ)
デスクトップPCのPCIeスロットに装着し、背面からアンテナを伸ばす。USBより安定し、Bluetooth搭載モデルも多い。
アンテナ台座付き
アンテナを延長ケーブルで机上に設置でき、強力で安定した受信が可能。ゲーミングや配信に適している。
選び方の目安
- 安さと手軽さを重視 → ナノ型やスティック型USB
- 安定性と速度を重視 → アンテナ付きUSBまたはPCIeカード
- ゲームや配信用途 → 外部アンテナ台座付きPCIeカード
まとめ
最も手軽で確実なのはUSB接続のWi-Fi子機になる。省スペースを重視するならスティック型、安定した接続を重視するならアンテナ付きモデルがおすすめ。将来的に低スペックマザーボードを使用するかもしれない、外出先でも快適なWi-Fi環境を確保したいなら、持っていて損はない。




