
Ryzen 5800XTを過去に使っていたMSI MEG X570に取り付けて運用していた。
このマザーボードは発売から年数が経っており、当時はRyzen 5000番代など存在していなかったため、最新CPUに完全対応していないようだった。
順調に動いていた。ある日突然、起動トラブルや不具合に見舞われるようになった。アプリを立ち上げただけでシャットダウンを繰り返すなど、まともな運用が難しくなりLinuxを楽しみましょう、どころではなくなった。
BIOSは最新にアップデートしていたが、ハードウェア自体に問題は見つからなかった。原因は古いマザーに無理やり新しいCPUを載せていたことにあると3日間にわたる瞑想の後に悟った。
そこでマザーボードの買い替えを決意。コストをケチりたかったので、最低限の機能を持つASUS A520M-Kをチョイス。このMicroATX規格のモデルは軽量でコンパクト、余計な機能がほとんどなく、値段も4500円と漠然とした不安を感じるレベルだ。
だが発売時期が2024年9月と新しいためBIOSの初期不具合も少なく、5000番代CPUとの互換性も十分に確保されているはず。高級でも少し古いマザーでBIOS問題に悩まされるよりは安心感があると判断した。
ASUS A520M-Kのスペック詳細と特徴
ASUS A520M-KはMicroATX規格のコンパクトなマザーボードながら、必要な機能は一通り揃っている。ただし、CPUファン用の端子は1つ、ケースファン用のCHAファン端子も1つしかなく、大型冷却システムを複数接続する場合は工夫が必要だ。
拡張スロットはPCIe x16が1本のみで、追加のグラフィックカードや拡張カードを多く差し込む構成には向かない。
一方、SATAポートは4つあり、標準的なHDDやSSDの接続には対応できる。M.2 SSDポートは1つあるが、高級モデルのように被せるヒートシンクなどなく剥き出しになる。裏を返すと、放熱効率の高い好きなヒートシンクを搭載すれば良いわけだ。
M.2 SSD冷却の決め手:最新ヒートシンク比較ガイド – 性能と互換性から選ぶ最適解
VGA端子やHDMI端子も備えており、内蔵GPUでの基本的なディスプレイ出力も可能だ。
Wi-Fiがないので、無線を使いたい場合は別途USBタイプのWi-Fiアダプタが必要になる。USB端子は6つあり、周辺機器の接続には問題ない。
ボード自体は軽量で、ペラペラのバックパネルが付属。読ませる気のない薄い説明書は読みにくく、日本人など眼中にないのが実感できた。
余計な機能が少ない分、扱いやすいのがメリットだが、拡張性の低さは意識しておく必要がある。大型CPUクーラーを搭載する場合、PCIスロットとの距離やCPU・CHAファン端子の位置に注意が必要だ。
ASUS A520M-Kは低コストで最低限の機能を備え、シンプルなPC構築には向いている。しかし、大型クーラーやグラボを前提とした運用にはあまり適していない。
Linux環境での動作検証
ASUS A520M-KにRyzen 5800XTを取り付け、Linuxをインストール済みのSSDで動作確認を行った。
まず、M.2 SSDをボードの専用スロットに差し込み、付属の固定ネジでしっかり固定する。小袋入りの台座用スペーサーネジを忘れると傾くので注意。こういうところにもいちいち安さを感じる。
初回起動もスムーズで、Linuxは問題なく立ち上がった。Archlinux GnomeでもSSDを正常に認識し安定して動作した。CPU温度やファン速度も監視したところ、問題なく運用できることを確認できた。
A520M-KはLinux環境でも問題なく動作し、小型・低コストのシステム構築を目指す場合、十分実用的な選択肢と言える。
温度スパイク問題と対策
Ryzen 5800XTをASUS A520M-Kで運用した際、通常使用でもCPU温度が瞬間的に36℃から60℃近くまで跳ね上がる現象が確認された。
この温度スパイクは、標準設定のままでは短時間の高負荷時に頻繁に発生する。ファンの騒音や動作の不安定、最悪の場合はシステムダウンにつながる可能性がある。
以前使っていたMSI MEG X570でもこのスパイク減少は確認していて、Ecoモード65WモードでPPTを制限し抑えることに成功していた。だが、安いA520M-Kには低消費電力モードが存在しない。そこで、BIOSでPBO(Precision Boost Overdrive)を無効化し、CPUの動作を制御することにした。
さらに、VDDCR CPU Voltageをオフセットモードに設定し、負荷ピーク時の電圧上昇を抑える。この設定で、短時間の温度スパイクはほぼ発生せず、通常使用時のCPU温度は34℃〜40℃前後で安定するようになった。
最大負荷時に60℃を超えるスパイクはなく、ファンも静かに動作し続けた。
A520M-KのようなECOモードのない低価格マザーボードでも、PBO無効化とVDDCRオフセットの組み合わせで十分なスパイク対策が可能で、追加の冷却装置なしでもRyzen 5800XTを運用できるとわかった。
格安マザーボード運用の実体験レビュー
ASUS A520M-Kを実際に使ってみると、高級マザーボードと比べて機能や端子は必要最小限に絞られている。
MSI MEG X570が高級ホテルなら、A520M-Kは格安ホテルのような使い心地だ。ランクを落として初めてその不便さに気づく。高級モデルでは気にする必要のないことも、格安モデルでは配慮が必要になる。
付属品は少なく、CPUファンやケースファンの接続端子はそれぞれ1つずつしかないため、大型冷却や複数の拡張カードを追加するなら工夫が必要だ。
一方、標準的な構成であれば十分に安定して動作し、Linuxも問題なく起動する。長時間使用しても温度やパフォーマンスに大きな問題はなく、軽量でコンパクトなため設置場所やケース選びの自由度も高い。
拡張性の低さは、USBハブや外付けストレージで補うことになるだろう。低コストながら、日常的な作業や一般的なゲーミング環境なら十分で、問題なく運用できることがわかった。
購入時の注意点とおすすめ活用法
ASUS A520M-Kは低価格ながら基本機能はしっかり備えているが拡張性は期待できない。PCIeスロットは1本しかなく、複数の拡張カードを追加する構成には向かない。
この不便さを逆に楽しみ、自作PCの工夫の面白さを実感できるかもしれない。最近はゲーミング〇〇など少し高級なマザーボードを選ぶことが多かったが、初心に帰り低機能のものを使う経験も大事だとわかった。
低価格ゆえの不便さはあるが、快適に運用でき、安定した性能も引き出せる。用途や拡張性をあらかじめ確認し、必要なアクセサリを用意しておくと安心だ。





