
MousepadはXfceデスクトップ環境向けの標準テキストエディタである。オープンソースで開発され、軽量で高速に動作することを目標としている。大規模なプラグイン群や統合開発環境(IDE)を目指すのではなく、「テキストファイルを素早く編集する」ことに特化している。
初期のXfceの設計方針は、デスクトップ全体でシステムリソースを節約することと直感的な操作性を重視する点にあった。必要最低限の機能を効率よく提供することで軽快な操作感を実現している。
プロジェクトの公式リポジトリやドキュメントでも「高速で使いやすいテキスト編集」を目標に開発されている旨が明記されている。
Mousepadは多くのLinuxディストリビューションでパッケージ提供されている。Debian/Ubuntu系では sudo apt install mousepad のようにパッケージ管理ツールでインストールできたり、Flathubや公式リポジトリからも入手可能で、標準のテキストエディタとして配布されていたりするので導入は容易だ。
Mouspadの特徴と基本機能
Mousepad は、メニューバーとツールバーを備えたクラシカルなウィンドウ構成を採用している。メニュー項目は階層的に整理され、必要な編集機能に迅速にアクセスできる。画面上部のツールバーには、よく使う機能のアイコンを配置しており、マウス操作で直感的な編集が可能である。
「高速で使いやすい」を重視しており、巨大なプラグインや IDE 機能を盛り込むのではなく、素早いテキスト編集向けに最適化されている。
依存ライブラリには GTKや GtkSourceView があり、これらを使って軽快だが最低限の構成を維持している。
Mousepad の基本編集機能としては、インデント管理と行番号表示がある。マルチラインインデントや無限の Undo/Redo、行番号表示がサポートされている。
マルチカーソル(複数独立カーソル)による同時編集機能は、標準機能としては提供されていない。これは、Mousepad が主にシンプルなテキスト編集用途に特化している設計思想に起因する。
テキスト検索・置換には正規表現(Regex)を使うオプションがある。これは高度な検索パターンを扱いたいユーザーに有用である。さらに、Undo(元に戻す)機能では編集履歴を保持しており、複数段階の取り消しとやり直しが可能である。
シンタックスハイライト(構文強調表示)は、GtkSourceView を利用して多くのプログラミング言語やマークアップ言語を色分けでき、予約語、文字列、コメントなどを視覚的に識別しやすくなり、可読性と構造把握が向上する。
ユーザーはファイルを開く際にエンコーディングを指定でき、コマンドラインから mousepad -e ファイル名 のように呼び出すことでエンコーディング選択ダイアログを開くこともできる。
外部プログラムとの連携に関して、Mousepad はコマンドラインからファイルを開ける。例えばスクリプトから mousepad ファイル名 と呼び出すことができる。
デフォルトでは複数の Mousepad ウィンドウがあると、新しく起動した呼び出しが既存インスタンスに接続される動作があり(サーバーモード)、これを制御するには –disable-server オプションを使う必要がある。
GNOME環境を使用している場合は、Geditが標準エディタとして広く利用されている。Geditの基本的な使い方や機能については、初心者でも使いやすいLinuxの定番テキストエディタ geditの基本と活用法で詳しく解説している。
インストールと初期設定
インストール
Ubuntu / Debian 系では、ソフトウェアセンターからインストールできるか、端末で
sudo apt install mousepad
を実行して導入するのが一般的である。
Fedora 系では標準リポジトリにパッケージがあり、
sudo dnf install mousepad
でインストールできる
Arch 系では pacman で sudo pacman -S mousepad
として導入する。各ディストリのパッケージリポジトリに登録されており、通常のパッケージ管理操作で入手可能である。
配布パッケージ名は多くのディストリで mousepad で統一されているが、バージョンやリポジトリ方針により提供状況が変わるため、自分の配布のパッケージ検索結果を確認することを推奨する。
必要なライブラリ・サイズ
Mousepad は GtkSourceView 系ライブラリを用いてシンタックスハイライトなどを実現している。バージョンやビルドによって依存する。 GtkSourceView の世代が異なるため、配布パッケージの依存関係を確認することが望ましい。
パッケージの インストール後サイズ はディストリやアーキテクチャで差がある。Debian のパッケージ情報では「Installed-Size」が数MB〜数十MBの範囲にあるため、実際の値はパッケージページで確認してほしい。
設定
設定項目は 「編集メニュー/環境設定(Preferences)」 からアクセスできる。表示・動作に関する主要オプションはこのダイアログで変更可能であり、多くは GUI 操作で永続化される。コマンドラインや dconf/gsettings でも一部設定を操作できる。
行番号表示、ワードラップ、自動インデント、カラースキームなど。これらは用途に応じて有効化するのがよい。デフォルト値は配布やバージョンにより異なるため、初回起動時に確認して必要なものを有効化することを勧める。
カラースキームとフォント
シンタックスハイライト用のカラースキームは GtkSourceView のスタイルを利用しており、外部にあるスタイルファイル(例:~/.local/share/gtksourceview-3.0/styles 等)を読み込める。カラースキームは設定画面や gsettings/dconf で変更可能だ。
主要機能の使い方
標準的なテキスト編集では複数行選択を活用できる。選択範囲のコピーと貼り付けは Ctrl + C / Ctrl + V で行う。行の移動は環境によるが、多くのショートカットが用意されており、取り消し・やり直し(Undo/Redo)は複数段階で実行できる。
シンタックスハイライトは GtkSourceView を利用しており、主要なプログラミング言語やマークアップ言語で構文を色分け表示できる。色の割り当てや配色は設定画面で変更可能だ。
検索は Ctrl + F で呼び出す。検索窓での検索は一致箇所をハイライトし、F3 等のキーで次を検索できる。正規表現(Regex)を使った検索・置換はサポートされるが、正規表現の扱いはバージョンや実装の差に影響されるため、複雑なパターンは事前にテストすることを推奨する。置換は置換ダイアログ(Ctrl + H)から実行し、全置換ボタンで一括変更できる。
テキスト整形は [編集] メニューからインデント/アウトデントを行う。タブ→インデント、Shift + Tab→アウトデントで操作できる。空白とタブの変換機能や行末空白の一括削除など、基本的な整形操作はメニューまたは設定から利用できる。
カスタマイズとプラグイン
Mousepad のテーマ設定は、現在は GtkSourceView のスタイルファイルを読み込む方式であり、ユーザーローカルでは ~/.local/share/gtksourceview-/styles/ に配置するのが一般的である。
配布される Mousepad のバージョンや GtkSourceView の世代によりパスが gtksourceview-3.0 または gtksourceview-4 になるため、自分の環境で使われているディレクトリを確認してから配置すること。テーマの切り替えは設定画面(表示/Preferences)から行えるが、配布版によって UI の扱いが異なる場合がある。
アンチエイリアスやレンダリング品質はシステム側の設定に依存するため、必要に応じて GTK のフォントレンダリング設定やデスクトップ環境のフォント設定も確認する。
キーバインドは ~/.config/mousepad/accels.scmで定義できるが、最近の Mousepad にはショートカット編集機能が導入されており、環境と依存ライブラリ(libxfce4ui のバージョンなど)によっては設定画面から編集可能である。
デフォルトで Vim 互換のキーマップが有効になることはなく、Vim ライクな操作を必要とする場合は別のプラグインや外部ツールを用いるか、手動でアクセルファイルを編集して割り当てる。
KDE環境ではKateやKWriteといった高機能なテキストエディタが利用できる。これらのエディタのカスタマイズ方法については、KDE環境で使える高機能エディタKateとKWrite完全ガイドで紹介している。
プラグイン機能は Mousepad に用意されているが、配布版ではプラグインを同梱しない場合が多く、ユーザー側で追加する運用が一般的。システム側のプラグイン配置やユーザーローカルの配置先は配布やビルドによって異なるため、/usr/lib/…/mousepad/plugins や ~/.local/share/…/plugins 等のディレクトリを確認して、対応する場所にプラグインを配置する。
他のエディタとの比較
GeditはGNOME環境の標準エディタとしてより多機能だ。外部プラグインの豊富さはGeditに優位性がある。一方、Mousepadはメモリ使用量が半分以下で起動速度に優れる。基本機能に絞った設計思想がシンプルな操作性を実現する。
NotepadqqはWindowsの開発者向けエディタNotepad++のLinux版を目指したエディタだ。IDEに近い機能を備え、プロジェクト管理や高度なコード補完を提供する。Mousepadはメモ書きから設定ファイル編集まで、より広い用途に対応する軽量エディタとして位置づけられる。
PlumaはMATE環境向けに開発された姉妹エディタだ。TabキーやインデントはPlumaがより賢く処理する。Mousepadはファイル保存時のバックアップ作成を省略し、動作の即応性を重視する。両者ともオープンソースコミュニティによる継続的な改善を受けている。
MATE環境でPlumaを使いこなす方法については、MATE環境で使える軽量テキストエディタPlumaの魅力で詳しく解説している。
テキストファイルの単純な編集作業ならMousepadで十分だ。本格的な開発作業にはNotepadqqの統合開発環境が効果を発揮する。システム管理者はスクリプト編集やログ解析にMousepadの軽快な動作を活用する。






