
Arch Linuxは、シンプルさとカスタマイズ性を重視したLinuxディストリビューションである。初めてインストールにチャレンジする人にとってCUIベースのインストール作業は難易度が高く感じられる。本記事はGUIインストーラが存在しないArch Linuxの環境構築を理解しながら進めることを目的とする。
Arch Linuxの特徴はユーザーが完全なカスタマイズ可能なシステムを一から構築できる点にある。素のLinuxカーネルに必要最小限のソフトウェアを組み合わせた構成から始まる仕組みを理解すると、カスタマイズの幅は無限に広がる。
インストールの前に基本的なLinuxコマンドの知識が求められる。最低限cd、ls、mkdir、rmなどのファイル操作コマンドを理解しておくと作業がスムーズに進む。
パーティショニングはハードディスクを論理的に分割する作業である。ディスクの区画設計には基礎知識が不可欠だ。EFIシステムパーティション、スワップ領域、ルートパーティションなどの役割を把握する。
パッケージマネージャのpacmanはソフトウェアのインストール、アップデート、削除を一元管理するツールだ。パッケージの依存関係を自動的に解決する機能を備える。
Linuxファイルシステムの階層構造を理解することもArch Linuxを使いこなす上で重要な要素となる。/etc、/home、/usrなどの主要なディレクトリの役割を把握する。
インストール作業はコマンドラインで実行するためエラーメッセージの意味を理解する必要がある。エラーの原因究明と対処方法の基礎知識があると作業が円滑に進む。
本記事ではArch Linuxのインストールを通じてLinuxシステムの動作原理を学ぶことを目指す。基礎から応用まで段階的に解説を進めることで、初心者からマニアックなユーザーまで満足できる内容を提供する。
インストール前の準備
Arch Linuxをインストールする前にハードウェアの最小要件を確認する。x86_64アーキテクチャのCPU、512MB以上のメモリ、2GB以上のストレージ空き容量が必須である。USBメモリは4GB以上の容量を用意する。
インストールメディアの作成に入る前にArch Linuxの公式サイトから最新のISOファイルをダウンロードする。イメージファイルの整合性を担保するため、PGP署名による検証を実施する。USBメモリへの書き込みにはddコマンドやBalenaEtcherを使用する。ddコマンドは失敗するとデータがすべて消えてしまうので危険が伴う。安全性や利便性を重視するなら、BalenaEtcherのようなGUIベースのツールを使用するといい。
- ddコマンド(LinuxおよびmacOS向け)
- Rufus(Windows向け)
- Ventoy
- UNetbootin
- BalenaEtcher
- Fedora Media Writer
- GNOME Disks(Linux向け)
# ddコマンドでUSBメモリに書き込む
dd bs=4M if=/path/to/archlinux.iso of=/dev/sdx status=progress oflag=sync
コマンドの詳細
bs=4M: ブロックサイズを4MBに設定
if=: 入力元ファイル(ISOイメージファイルのパスを指定)
of=: 出力先デバイス(USBメモリのデバイス名を指定、例: /dev/sdb)
status=progress: 書き込み進行状況を表示
oflag=sync: データを書き込む際に同期フラグを有効にする
/dev/sdx は実際のUSBデバイスに置き換えること。間違ったデバイスを指定すると重要なデータが失われる危険性があるので、コマンドの意味が理解できない人、自信がない人にはおすすめしない。書き込みが完了するまでUSBメモリを取り外さないようにする。
BIOS/UEFI設定ではブート順序の変更とセキュアブートの無効化を行う。マザーボードによって設定画面へのアクセス方法は異なるため、メーカーのマニュアルを参照する。一般的なキーはF2、F12、Delである。
EFIシステムパーティションはUEFIブートローダーやカーネルイメージを格納するための領域である。FAT32形式でフォーマットし、容量は最低300MB確保する。複数のカーネルをインストールする予定なら1GB以上を推奨する。
スワップ領域はメモリ不足時の一時的な退避領域となる。搭載メモリ量の1〜1.5倍のサイズを目安に設定する。ハイバネーション機能を使用するなら搭載メモリ容量以上を確保する。
RAMが4GBの場合: スワップ領域は4GB〜6GB
RAMが8GBの場合: スワップ領域は8GB〜12GB
メモリが十分に大きい場合(16GB以上)スワップ領域のサイズを少なめ(例: 2GB〜4GB)にするか、省略する選択肢もある。ただし、休止状態(スリープ時にメモリ内容を保存する機能)を利用する場合は、スワップ領域がRAMサイズ以上必要だ。
インストール作業に入る前にネットワーク環境を整える。有線LANの使用を推奨する。無線LANを使用するときはドライバーの互換性を事前に確認する。
作業中のトラブルに備えてArch Wikiのオフライン環境を用意する。スマートフォンやタブレットでWikiページを閲覧できる状態にしておく。
インストールメディアから起動したライブ環境では基本的なテキストエディタやパーティション作成ツールが利用可能である。vim、nano、cfdiskなどのコマンドを使用してシステム構築を進める。
コマンドラインでの作業に慣れていない人向けに基本的なLinuxコマンドをまとめておく。ls、cd、mkdir、cp、rmなどのファイル操作コマンドを理解する。
インストーラーが提供されない分、システムの仕組みを深く理解できるメリットがある。エラーメッセージの意味を読み解き、トラブルシューティングのスキルを身につける機会となる。
システムのセットアップ
パーティショニングはディスクを論理的に分割する作業である。fdiskやcfdiskコマンドを使用してパーティションテーブルを作成する。
# ディスク一覧の確認
lsblk
# パーティションの作成
cfdisk /dev/sda
UEFIシステムではGPTパーティションテーブルを採用する。最低限必要なパーティション構成は以下の3つである。
- EFIシステムパーティション(/boot):300MB
- スワップパーティション:RAMサイズの1.5倍
- ルートパーティション(/):残りの容量
ファイルシステムはデータの保存方法を定義する仕組みである。各パーティションにファイルシステムを作成する。
# EFIシステムパーティションをFAT32でフォーマット
mkfs.fat -F32 /dev/sda1
# スワップ領域の初期化
mkswap /dev/sda2
swapon /dev/sda2
# ルートパーティションをext4でフォーマット
mkfs.ext4 /dev/sda3
パーティションをマウントしてインストール先の環境を構築する。マウントポイントは階層的な構造で設定する。
# ルートパーティションのマウント
mount /dev/sda3 /mnt
# EFIパーティションのマウント
mkdir /mnt/boot
mount /dev/sda1 /mnt/boot
ベースシステムのインストールはpacstrapスクリプトで実行する。基本的なパッケージ群をインストールする。
# ベースシステムのインストール
pacstrap /mnt base linux linux-firmware
# 設定ファイルの生成
genfstab -U /mnt >> /mnt/etc/fstab
chroot環境に入り新システムの設定を行う。タイムゾーン設定やロケールの生成を実施する。
chroot環境とは、「変更されたルートディレクトリ(Change Root)」を指し、UNIX系システム(Linuxを含む)で使用される。簡単に言うと、あるプロセスやその子プロセスに対して新しいルートディレクトリを設定し、それ以降のファイルシステムアクセスをそのディレクトリ以下に制限する仕組みだ。
chroot環境内では、システムのルートディレクトリ / が、指定されたディレクトリに置き換えられる。
# chroot環境に入る
arch-chroot /mnt
# タイムゾーンの設定
ln -sf /usr/share/zoneinfo/Asia/Tokyo /etc/localtime
hwclock --systohc
ネットワーク設定ではホスト名の設定とネットワークマネージャーのインストールを行う。
# ホスト名の設定
echo "hostname" > /etc/hostname
# ネットワークマネージャーのインストール
pacman -S networkmanager
systemctl enable NetworkManager
一般的なトラブルシューティングには以下のような対処法がある。
- マウントエラー:パーティションのフォーマットとマウントポイントを確認
- パッケージエラー:ミラーリストの更新とインターネット接続を確認
- ブート失敗:ブートローダーの設定とカーネルパラメータを確認
initramfsの生成はシステム起動に重要な役割を果たす。特殊な設定が必要なときはmkinitcpio.confを編集する。
initramfs(Initial RAM Filesystem)は、Linuxカーネルが起動する際に、一時的に使用する初期のルートファイルシステム(initramfs)のことだ。カーネルがユーザー空間を初期化し、実際のルートファイルシステムをマウントする前に実行される。
initramfsは、カーネルがメモリ上に展開する小さなルートファイルシステムで、必要なモジュールやスクリプトが含まれる。最終的なルートファイルシステム(通常はディスク上にある)を準備する役割を持つ。
# initramfsの生成
mkinitcpio -P
ブートローダ(例: GRUB)はカーネルイメージとinitramfsをメモリにロードする。カーネルが起動すると、最初にinitramfsをメモリ上でマウント。
initramfs内の初期化スクリプト(通常は/init)が実行される。必要なドライバやモジュールをロードし、ルートファイルシステムの準備を行う。
initramfsスクリプトが実際のルートファイルシステムをマウントします。マウントが完了すると、initramfsは解放され、通常のルートファイルシステムに制御が移る。
ブートローダーのインストールはシステムを起動するために不可欠である。
ブートローダー(Bootloader)は、コンピュータの起動時に最初に実行されるプログラムの一つで、オペレーティングシステム(OS)をメモリにロードして起動する役割を担う。ブートローダーは、ハードウェアとOSの間の橋渡しをする重要なコンポーネントだ。
システムのハードウェアを初期化し、OSを起動する準備をします。CPU、メモリ、ストレージデバイスなどが正しく動作していることを確認する。
システムに複数のOSがインストールされている場合、ユーザーに選択画面(ブートメニュー)を表示。選択されたOSのカーネルをメモリにロードし、OSの起動プロセスを開始する。
GRUBが一般的な選択肢となる。
# GRUBのインストール
pacman -S grub efibootmgr
grub-install --target=x86_64-efi --efi-directory=/boot --bootloader-id=GRUB
grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
システムのセットアップ作業は細心の注意を払って進める。各コマンドの実行結果を確認しながら一つずつ作業を進めることで、安定したシステムを構築できる。
- 基本システムのインストール (1500文字)
基本システムのインストール
pacmanはArch Linuxの中核を担うパッケージ管理システムである。公式リポジトリからソフトウェアパッケージを取得してシステムを構築する。
# パッケージデータベースの更新
pacman -Sy
# システム全体の更新
pacman -Syu
# インストール済みパッケージの更新
pacman -Su
# パッケージの検索
pacman -Ss パッケージ名
# パッケージのインストール
pacman -S パッケージ名
# パッケージの削除
pacman -R パッケージ名
# 完全に削除する(設定ファイルも含む)
pacman -Rns パッケージ名
# 存在しないパッケージの削除(孤立したパッケージの削除)
pacman -Rns $(pacman -Qtdq)
基本パッケージ群はシステムの土台となる要素で構成される。
- base: システムの基盤となるパッケージ群
- linux: Linuxカーネル本体
- linux-firmware: デバイスドライバーのファームウェア
- base-devel: 開発ツール群
システム管理ツールの導入でメンテナンスを効率化する。
# システム管理パッケージのインストール
pacman -S sudo vim nano dhcpcd
ネットワーク関連のパッケージはインターネット接続に必要である。
# ネットワーク管理パッケージ
pacman -S networkmanager
systemctl enable NetworkManager
# 無線LAN設定ツール
pacman -S wireless_tools wpa_supplicant
テキストエディタはシステム設定に欠かせないツールである。
# テキストエディタのインストール
pacman -S vim nano
ブートローダーはシステム起動の制御を担う。
# GRUBのインストール
pacman -S grub efibootmgr
grub-install --target=x86_64-efi --efi-directory=/boot
grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
マルチメディア関連のパッケージは音声出力を制御する。
# サウンドシステムのインストール
pacman -S alsa-utils pulseaudio
シェル環境の整備でコマンドライン作業を快適にする。
# シェル関連パッケージ
pacman -S bash-completion zsh
システムモニタリングツールでリソース監視を実現する。
# モニタリングツール
pacman -S htop neofetch
開発環境の構築に必要なパッケージを導入する。
# 開発ツール群
pacman -S git gcc make cmake
Gitは、バージョン管理システムである。ソースコードやプロジェクトの変更履歴を追跡し、複数の開発者が共同作業できるようにする。
GCC(GNU Compiler Collection)は、C言語やC++などのプログラミング言語のコンパイラ。プログラムのソースコードを機械が理解できるバイナリ形式(実行ファイル)に変換できる。Makeは、プログラムのビルド(コンパイルやリンク)を効率的に管理するためのツール。
CMakeは、クロスプラットフォームのビルドシステム生成ツール。Makeと同様にビルド手順を管理するが、さらに高度な設定が可能で、多くのプラットフォームやビルド環境をサポートする。
インストール作業はミラーサーバーの応答速度に依存する。/etc/pacman.d/mirrorlistを編集して最適なミラーを選択すれば、ダウンロード速度を向上できる。
Arch Linuxでは、公式リポジトリにあるパッケージや更新データがミラーサーバーにホストされている。pacmanはこれらのミラーサーバーにアクセスしてパッケージをダウンロードしてくれる。
reflectorというツールを使えば、自動的に最適なミラーリストを生成できる。
sudo pacman -S reflector
最速のミラーリストを作成する例:
sudo reflector --country Japan --age 12 --protocol https --sort rate --save /etc/pacman.d/mirrorlist
--country:使用する国を指定。
--age:更新されてからの時間(例: 12時間以内)。
--protocol:使用するプロトコル(例: HTTPS)。
--sort:ソート方法(例: レート順)。
手動で編集する ミラーリストファイルを開き、地理的に近いサーバーを優先的に配置します。
sudo nano /etc/pacman.d/mirrorlist
リポジトリの同期 ミラーリストを更新した後は、リポジトリ情報を再同期します。
sudo pacman -Syy
依存関係を考慮しながら必要最小限の構成から始めることで、軽量で安定したシステムを実現できる。
システム設定とカスタマイズ
システムの基本設定は/etcディレクトリ配下の設定ファイルで管理する。各ファイルの役割を理解することでシステムを適切に制御できる。
# ホスト名の設定
echo "hostname" > /etc/hostname
# hostsファイルの編集
vim /etc/hosts
127.0.0.1 localhost
::1 localhost
127.0.1.1 hostname.localdomain hostname
ホスト名(hostname)は、コンピューターやデバイスに付けられる一意の名前のことで、ネットワーク上でそのデバイスを識別するために使用される。通常、ホスト名はネットワーク内での通信や管理を簡素化するために用いられる。
ロケールの設定で言語環境を整備する。
ロケール (locale) とは、コンピューターシステムで使用される言語や地域特有の設定を定義する仕組みのことです。ロケールは主に以下の要素に関連しています。
ロケールの主な設定内容
言語
使用する言語を指定します(例: 日本語、英語、フランス語)。
例: en_US(英語 - アメリカ)、ja_JP(日本語 - 日本)。
地域
国や地域を指定します(例: 日本、アメリカ、フランス)。
例: US(アメリカ)、JP(日本)。
文字エンコーディング
テキストの文字エンコーディングを指定します。
一般的には UTF-8 が使われます。
例: ja_JP.UTF-8。
日時の形式
日付や時刻の表示形式(例: YYYY-MM-DD 形式や DD-MM-YYYY 形式)。
数値の形式
小数点や桁区切り記号の指定(例: . や , の違い)。
通貨の形式
通貨記号や表示順序の設定(例: $123.45 や 123,45€)。
並び順
辞書的な並び替えの規則(例: アルファベット順や五十音順)。
ロケールの形式
ロケールの名前は、以下の形式で構成される。
[言語コード]_[国/地域コード].[文字エンコーディング]
例:
en_US.UTF-8:
英語 (en)
アメリカ (US)
UTF-8 エンコーディング
ja_JP.UTF-8:
日本語 (ja)
日本 (JP)
UTF-8 エンコーディング
# 利用可能なロケールの指定
vim /etc/locale.gen
en_US.UTF-8 UTF-8
ja_JP.UTF-8 UTF-8
# ロケールの生成
locale-gen
# デフォルトロケールの設定
echo LANG=ja_JP.UTF-8 > /etc/locale.conf
タイムゾーン設定で正確な時刻管理を実現する。
# タイムゾーンの設定
ln -sf /usr/share/zoneinfo/Asia/Tokyo /etc/localtime
# ハードウェアクロックの設定
hwclock --systohc --utc
キーボードレイアウトを設定する。
# 日本語キーボードの設定
echo KEYMAP=jp106 > /etc/vconsole.conf
ネットワーク設定はNetworkManagerで管理する。
# NetworkManagerの有効化
systemctl enable NetworkManager
# 無線LAN接続の設定
nmcli device wifi connect "SSID" password "パスワード"
# 固定IPアドレスの設定
nmcli connection modify "接続名" ipv4.method manual ipv4.addresses "IPアドレス/24" ipv4.gateway "ゲートウェイ"
ブートローダーの設定ファイルを編集する。
# GRUBの設定ファイル
vim /etc/default/grub
GRUB_TIMEOUT=5
GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="quiet"
# 設定の反映
grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
ユーザー管理の設定を行う。
# sudoの設定
visudo
%wheel ALL=(ALL) ALL
# 一般ユーザーの作成
useradd -m -G wheel username
passwd username
システムサービスの管理はsystemctlコマンドで行う。
# サービスの有効化
systemctl enable sshd
# サービスの起動
systemctl start sshd
# サービスの状態確認
systemctl status sshd
ファイアウォールの設定でセキュリティを強化する。
# ファイアウォールのインストール
pacman -S ufw
# ファイアウォールの有効化
ufw enable
# SSHポートの開放
ufw allow 22/tcp
電源管理の設定で省電力機能を制御する。
# 電源管理デーモンの有効化
systemctl enable tlp
# 電源管理の設定
vim /etc/tlp.conf
音声設定で出力デバイスを制御する。
# 音声サーバーの有効化
systemctl enable pulseaudio
# 音量調整
alsamixer
これらの基本設定を済ませた後、個々のニーズに応じて追加のカスタマイズを行う。設定変更はバックアップを取りながら慎重に進めることで、安定したシステム環境を維持できる。
- インストール後の設定 (1500文字)
インストール後の設定
一般ユーザーの作成から始める。rootユーザーでの常用は避ける。
# ユーザーの追加
useradd -m -G wheel -s /bin/bash username
# パスワードの設定
passwd username
# sudo権限の付与
EDITOR=vim visudo
%wheel ALL=(ALL:ALL) ALL
セキュリティ強化を実施する。
# SSHの設定
vim /etc/ssh/sshd_config
PermitRootLogin no
PasswordAuthentication no
SSH (Secure Shell) とは、ネットワーク越しにコンピュータ同士を安全に接続して、リモート操作を行うための通信プロトコルおよびツールです。SSHは、特にインターネット越しにシステムを管理したり、ファイル転送を行ったりする際に広く利用されています。SSHは、通信内容を暗号化することで、第三者による盗聴や改ざんから保護します。このため、安全なリモートアクセスが可能になります。
# ファイアウォールの設定
ufw default deny
ufw enable
日本語入力環境を整備する。
# 日本語フォントのインストール
pacman -S noto-fonts-cjk
# 日本語入力システムの導入
pacman -S fcitx-im fcitx-mozc
環境変数の設定を.xinitrc
に追加する。
export GTK_IM_MODULE=fcitx
export QT_IM_MODULE=fcitx
export XMODIFIERS=@im=fcitx
xinitrc とは、X Window System(X11)のセッションを開始する際に実行される設定ファイルで、Xサーバの起動やウィンドウマネージャ、デスクトップ環境などのスタートアッププログラムを指定するためのスクリプト。
このファイルには、X Window環境がユーザーのグラフィカルセッションを管理する際の手順を定義する。
デスクトップ環境を導入する。
# Xorgのインストール
pacman -S xorg-server xorg-xinit
# デスクトップ環境のインストール
pacman -S plasma-desktop
# ディスプレイマネージャーの設定
pacman -S sddm
systemctl enable sddm
開発環境の構築を行う。
# 開発ツールのインストール
pacman -S git base-devel
pacman -S python python-pip
pacman -S nodejs npm
マルチメディア環境を整える。
# コーデックのインストール
pacman -S gst-plugins-base gst-plugins-good
pacman -S gst-plugins-bad gst-plugins-ugly
# メディアプレイヤー
pacman -S vlc
ブラウザをインストールする。
# Firefoxのインストール
pacman -S firefox
システム管理ツールを導入する。
# システムモニタリングツール
pacman -S htop neofetch
# バックアップツール
pacman -S timeshift
AURヘルパーでパッケージ管理を効率化する。
AURヘルパー(AUR Helper)は、Arch Linux やその派生ディストリビューションに関連するツールで、パッケージのインストールや管理を支援するためのスクリプトやコマンドラインツールの一つ。このツールは、PacmanやAUR(Arch User Repository)を使用する際に便利で、ユーザーがパッケージを効率的に管理できるようサポートする。
AURヘルパーはAURのパッケージを簡単にインストール、更新、削除する機能を提供する。AURパッケージはpacmanでは管理できませんが、AURヘルパーを導入することで、AURのパッケージを簡単に扱えるようになる。
AURヘルパーは、パッケージをインストールする際に依存関係を自動的に解決し、必要なパッケージを一緒にインストールしてくれる。ソースコードからビルドする手間を簡略化し、ビルドプロセスをスムーズにする。システム全体のアップデートや、特定のパッケージの更新を簡単に管理するためのコマンドもある。
人気のあるAURヘルパーとして yay や paru などがある。これらは、AURのパッケージをpacmanのように簡単にインストール・管理できる。
# yayのインストール
git clone https://aur.archlinux.org/yay.git
cd yay
makepkg -si
これらの設定を終えた後、システムアップデートを実行する。
# システム全体の更新
pacman -Syu
各設定変更はシステムの安定性に影響を与えるため、一つずつ動作確認を行いながら進めていこう。
トラブルシューティングとFAQ
Arch Linuxの運用中に発生する可能性があるさまざまな問題に対処するための方法をいくつか紹介していく。問題解決の際に重要なのは、エラーメッセージの内容を理解し、必要な情報を収集して原因を特定することだ。
起動時のエラー対処を説明する。
Arch Linuxを起動した際に、ブートローダーの問題で起動できない場合がある。この場合、ブートローダーを再インストールして問題を解決できる。
# ブートローダーの再インストール
mount /dev/sda1 /mnt/boot
grub-install --target=x86_64-efi --efi-directory=/mnt/boot
grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
パッケージ管理でのエラー解決法。
pacmanを使用してパッケージをインストールまたはアップデートしようとしたときに、/var/lib/pacman/db.lckというロックファイルが残っている場合、次のコマンドでロックを解除できる。
# パッケージデータベースのロックエラー
rm /var/lib/pacman/db.lck
pacmanのキーが古い場合や無効になっている場合は、以下のコマンドでキーリングを更新して、新しいパッケージのインストールを正常に行えるようにする。
# キーリングの更新
pacman -Sy archlinux-keyring
Arch Linuxの公式リポジトリの最新の署名鍵を取得し、パッケージのインストールが正常に行えるようになる。
ネットワーク接続の復旧手順だ。
ネットワークドライバーが適切にインストールされているかを確認するには、以下のコマンドを使用して、ネットワークデバイスを表示する。
# ドライバーの確認
lspci -k
ネットワークインターフェースのドライバが正しく認識されているかを確認できる。
NetworkManagerが動作していない場合は、再起動を試みる。
# NetworkManagerの再起動
systemctl restart NetworkManager
これにより、ネットワークの接続が再設定され、正常に復旧することがある。
グラフィック環境の不具合対処では、Xorgやグラフィックドライバの不具合で表示が正常に行われない場合、以下の手順で問題を解決できる。
# Xorgの設定確認
cat /var/log/Xorg.0.log
Xorgのログを確認して、エラーや警告がないかを調べる。Xorgのログは通常、/var/log/Xorg.0.logにある。
NVIDIAやAMDなどのグラフィックドライバを再インストールすることで、問題を解決できることがある。
# グラフィックドライバーの再インストール
pacman -S nvidia
また、使用するGPUに応じたドライバをインストールすることが重要です。
公式リソースへのアクセス方法。
- Arch Wiki: wiki.archlinux.org
- バグトラッカー: bugs.archlinux.org
- フォーラム: forum.archlinux.org
ログの確認でエラーを特定する。
システム全体のログを表示して、起動時のエラーや問題を確認する。
# システムログの確認
journalctl -b
特定のサービス(例えば、ネットワーク関連やディスプレイマネージャ)のログを確認したい場合、以下のように指定する。
# サービスのログ確認
journalctl -u service-name
緊急時の復旧手順。
システムが起動しない場合や重要なファイルシステムに問題がある場合は、緊急時の復旧手順を試みる。
# レスキューモードでの起動
arch-chroot /mnt
レスキューモード(chroot環境)でシステムを修復するために、インストールメディアから起動し、システムをarch-chrootで修復する。システムがインストールされたディスクにアクセスできるようになり、修復作業が行える。
ファイルシステムにエラーがある場合、fsckコマンドで修復を試みます。
# ファイルシステムの確認
fsck /dev/sda3
fsckはファイルシステムをチェックし、エラーを修正するツールだ。
まとめ
トラブル解決には、まずエラーメッセージを確認し、その後関連するログファイルを調査することが重要。原因を特定し、適切な手順で解決することで、システムの安定性を保てる。