中古パソコンを購入するとき、最も重要な点の一つがWindowsのプロダクトキーの存在だ。プロダクトキーとは、Windowsを正規品として認証するための必須の番号のことである。
Windowsは、プロダクトキーがなければ起動させることすらできない。プロダクトキーによる認証を経ることで、Windowsのすべての機能が使えるようになる。
しかし、中古パソコンにはプロダクトキーが存在しない、あるいは違法なプロダクトキーが使われていることもある。そうなると、Windowsを適切に使うことができないため注意だ。
中古パソコンを購入するときの、プロダクトキーの正しい入手方法とは一体何なのだろうか?
プロダクトキーの適切な入手方法
Windowsのプロダクトキーは、正規の流通経路から購入するのが賢明だ。以下が適切な入手方法となる。
- マイクロソフト公式ストアでの購入
最新バージョンのWindowsプロダクトキーを直接購入できる。安全で確実な方法です。 - 新品パソコンと同時購入
家電量販店で新品パソコンを買うと、Windowsがプリインストールされており、同梱のプロダクトキーが付属している。 - パッケージ製品の購入
家電量販店やオンラインショッピングからWindowsのパッケージ製品(DVD/USBメディア付き)を購入する。 - 信頼できる中古パソコン店での購入
一部の中古パソコン店では、付属のプロダクトキーの正規性を保証してくれる場合がある。
一方で、インターネットオークションなどで個人から中古のプロダクトキーを購入するのは危険が伴う。違法に入手されたキーの可能性が高く、突然無効化されるリスクがある。
プロダクトキーの有無や正規性は必ず確認し、信頼できる経路から入手するよう心がけてほしい。
Windowsプロダクトキーの確認方法
Windowsにインストール済みのプロダクトキーを確認する方法はいくつかある。
コマンドプロンプトからの確認
コマンドプロンプトを起動し、以下のコマンドを入力するとプロダクトキーが表示される。
wmic path softwareLicensingService get OA3xOriginalProductKey
システム情報からの確認
「システム情報」を開き、「Windowsの設定」項目にあるプロダクトキーの欄を確認する。
PowerShellからの確認
PowerShellを管理者権限で開き、次のコマンドを実行する。
(Get-WmiObject -query 'select * from SoftwareLicensingService').OA3xOriginalProductKey
このようにいくつかの方法でプロダクトキーを確認できる。中古パソコンを購入した際は、きちんと正規のプロダクトキーがインストールされているかを必ず確かめることだ。
違法なプロダクトキーを使うと突然Windowsが無効になるリスクがあるため、安全性を考えれば正規のプロダクトキーを入手することが賢明だろう。
中古パソコンに付属するプロダクトキーの種類
中古パソコンに付属するプロダクトキーには、主に3つの種類がある。
- OEM版
パソコンメーカーがあらかじめパソコンにプリインストールしたOSに付属するプロダクトキーだ。このプロダクトキーは、そのパソコン上でしか使用できない。 - DSP版
量販店で販売されているOSパッケージに付属するプロダクトキーである。一度使った環境から別のパソコンへ移行して使うことができる。ただし、移行できる回数に制限がある。 - リテール版
製品単体で購入できる正規のプロダクトキーのことだ。こちらはパソコンを問わず、どこでも使用可能となる。
中古パソコンを購入する際は、付属するプロダクトキーがどの種類なのかを確認することだ。
OEM版はそのパソコン以外では使えず、DSP版でも移行回数が限られている。リテール版以外だと、次のパソコンで再度プロダクトキーを購入しなければならないためである。
プロダクトキーとは
そもそも、プロダクトキーとは何なのか。ここで整理しておこう。
プロダクトキーとは、ソフトウェアを正規に入手したことを示す番号や文字列だ。Microsoft製品ではプロダクトキーと呼ばれている。
ソフトウェアはデータであり、簡単に複製できる。不正な複製や使用を防ぐ仕組みとして、インストールや初回起動時にプロダクトキーの入力が求められる。正規購入者のみが利用できるようになっている。
WindowsやOfficeなどのMicrosoft製品では、5文字ごとに分割された25文字の英数字で構成されるプロダクトキーを入力する。パッケージ版ならケースやラベル、カードに印字されている。OEM版は筐体に貼られたシールや同梱パッケージに記載されている。
近年のMicrosoft製品では、プロダクトキーをインターネットで照会し、正規発行品か確認する「ライセンス認証」が行われる。これで、同一キーの不正使用が防がれる。
ライセンス
中古パソコンに付属するプロダクトキーには、主に3つの種類がある。
リテール版
リテール版は一般向けの通常のWindows販売版で、パッケージ版とダウンロード版がある。価格はWindowsの通常価格となる。
OEM版やDSP版とは異なり、32ビット版と64ビット版の両方が同梱されている。Windows 7、8、8.1ではインストールディスク、Windows 10ではUSBメモリに両方のインストールファイルが入っている。
ユーザーはこの中から32ビット版か64ビット版を自由に選んでインストールできる。リテール版はこのように柔軟に対応OSを選べるのが特徴。Amazonでは出品者がAmazon.co.jpかどうかは要確認だ。
DSP版
DSP版は、業者向けのライセンス形態である。ライセンス上の扱いはOEM版と同等だが、自作PC市場ではWindows XP MCE 2005のDSP版発売まで全てOEM版と呼ばれていた。
DSPは「ディストリビューター向けソフトウェア製品(Distributor Software Product)」の略で、パソコンメーカーや構築業者向けに、Windowsなどをパソコンに組み込んで出荷する目的で提供されるライセンス形態を指す。
OEM版との違いは、DSP版にはダウングレード権がないことだ。DSP版は、何らかの部品の付属品として購入する形式となり、利用可能な部品の種類が規定されている。そのため、その部品に組み込んだ状態でのみライセンスが有効で、対象部品を破棄または破損して使用できなくなれば、ライセンスも消滅してしまう。
DSP版はOEM版に近いがより制約が厳しく特殊である。特定の部品に紐づけられたライセンスであり、その部品が使用できなくなればライセンス自体が無効になる、という点で異なる。
OEM版
OEM版はパソコンメーカーの製品にプリインストールされたものだ。この製品からOEM版のOSを切り離して、別のパソコンで使うことは許可されていない。この制限があるため、OEM版はリテール版に比べて大幅に安価に提供されている。
OEMは「オリジナル機器メーカー(Original Equipment Manufacturer)」の略。メーカーがパソコンにWindowsをプリインストールして販売する際に、OEMライセンスというWindowsの供給形態が採用されている。一般消費者が入手するのはOEM版が一般的だ。
ただし、パソコンの部品構成を変更する際の制限は明確に定められていない。そのため、実際にはマザーボードやケースを交換した後もOEM版を引き続き使う事例が多い。
OEM版は本来あるパソコンにのみ紐づけられているが、実態として部品入れ替えでその範囲をある程度逸脱できる。
ボリュームライセンス (VL) 版
VL版は大量導入時など、複数のライセンスをまとめて購入する形態。購入プログラムによって最低購入本数と価格が異なる。
原則としてインストールディスクは同梱されず、マイクロソフトのサイトからインストールイメージをダウンロードするか、別売の「メディアキット」を購入する必要がある。
ライセンスの譲渡時には、取得時のものを全てまとめて譲渡しなければならず、バラ売りは明確に禁止されている。ただし、購入者に制限はないため個人でも購入可能だ。
VL版の大きな特徴は、ソフトウェアアシュアランスが付帯できる唯一の形態であることです。ダウングレードやライセンスモビリティ、アップグレード保証などの権利を追加購入でき、それらが必要な場合はVL版を選ばざるを得ない。
VL版は大量導入時の割安な価格と、高度な権利追加ができる点が最大のメリットとなっている。
リテール版がベスト
一般のユーザーにとってはリテール版(箱入り)のWindowsが最も使いやすい。
リテール版なら、価格は高めだが、32ビット版と64ビット版の両方が同梱されており、自由に選択可能だ。プロダクトキーが製品に付属しているので、すぐに利用できる。また、ダウングレード権があり、過去のOSバージョンもインストール可能で、別のPCへの移行が比較的自由にできる。
OEM版やDSP版はPCメーカー向けで、特定のハードウェアに紐づくためマシンの変更ができず、一般ユーザーには後々不便となる。中古パソコンユーザーだけでなく、自作パソコンユーザーも注意する点だ。
VL版は法人向けの大量ライセンスで高額である上、権利の追加購入が必要となったりする。
個人がWindows OSを使う分には、リテール版(箱入り)が扱いやすく、制約も少ないので最適な選択肢といえる。中古PCの場合もリテール版があれば安心して使える。
中古パソコンのOSプロダクトキー確認と注意点
中古パソコンを購入する際、OSのプロダクトキーの有無と有効性を必ず確認しなければならない。プロダクトキーがない場合は別途入手する必要がある。
しかし、単にメーカー製のパソコンからOSを切り離して使うことはできない。プレインストールOSのライセンスは、そのパソコン本体に紐づいている。別のパソコンで利用するには新規にライセンスを購入しなければならない。
また、パソコンを処分する際にも注意が必要だ。OSやアプリケーションソフトをそのまま残したパソコンを譲渡すると、ソフトウェアライセンス違反となる可能性がある。ソフトをきちんとアンインストールしたり、ライセンス解除手続きを経る必要がある。
中古パソコンを手に入れる場合も、処分する場合も、プロダクトキーやライセンスに気を配らなければならない。パソコンを処分するのも、中古パソコンを入手するのもは、プロダクトキーの適切な処理が欠かせない。
プレインストール版
プレインストール製品は、パソコンに対してライセンスが発行されているため、他のパソコンでは使用できない。
プレインストールとは、パソコン購入時に既にOSやOfficeなどがインストールされている状態を指す。一般に、上述したOEM版と呼ばれるものだ。
例えば、メーカー製パソコンにプレインストールされたOfficeは、そのパソコン専用のライセンスだ。パソコンを処分する際は、ソフトウェアも処分しなければならない。別のパソコンにインストールすることはできない。
ただし、同じパソコンに再インストールすることは可能だ。また、ソフトウェアとパソコンを一緒に譲渡すれば問題ない。
パソコンを買い替えた際、プレインストールOfficeのライセンスカードやCDを使って新しいパソコンにインストールすることは認められていない。プレインストール版は、そのパソコン固有のものであり、別のパソコンでは使用できないからだ。
つまり、中古パソコンを購入する際は、プレインストール版かリテール(パッケージ)版かを確認しよう。プレインストール版のライセンスは新しいパソコンでは使えず、リテール版のみ移行可能だ。違反するとライセンス違反となってしまう。
ヤフオクの激安プロダクトキーは使えても突然使えなくなる可能性がある
中古パソコンのOSプロダクトキーについて、気を付けなければならない重要なポイントがある。
ヤフオクなどで激安の違法なプロダクトキーを購入して使うと、突然ライセンスが無効化され、WindowsやOfficeが使えなくなるリスクがある。Amazon.co.jpでの購入にも気をつけよう。出品者がAmazon.co.jpになっているからどうかを確認してからにしたほうがいい。Amazon.co.jpでは出品者が Amazon.co.jpとは限らないのでよく見ること。値段が安いものは避けるべきだ。
このような安価なプロダクトキーは、不正に入手されたライセンスキーであることがある。マイクロソフトはそれらを検知すると無効化するため、ソフトウェアが起動できなくなったり、機能が制限されたりすることがある。
一時的に使えたとしても、いつライセンスが無効になるかわからない。突然Windowsが使えなくなる、Officeで編集できなくなったり、PC内のデータにもアクセスできなくなるかもしれない。
正規のプロダクトキーは高額だが、永続的な利用とサポートが受けられる。確実にソフトを使いたければ、正規のプロダクトキーを購入するのが賢明だ。違法な激安のものはリスクが高い。中古プロダクトキーでは、サポートが受けられないだけでなく、セキュリティ上の危険もある。
確実なのは、専門店から正規ライセンスの搭載された中古PCを購入することだ。それか、OSなしの中古パソコンを買い、リテール版のWindowsを新規インストールするのが確実だ。
ライセンス条項上、リテール版Windowsはパソコンを移行しても利用が認められている。OEM版やDSP版は、特定のパソコン専用のライセンスで、他パソコンへの移行は認められていないので後々不便だ。