自作PCの話をする前に、避けて通れない概念がある。デジタルだ。デジタル時計、デジタルカメラ、デジタル放送。日常でよく聞く言葉だが、この「デジタル」が具体的に何を指しているのか、説明できる人は意外と少ない。
デジタル
デジタルとは、数字で表示することを意味する言葉ではない。電気には「電圧がかかっている」か「かかっていない」かの2つの状態しかないが、この2状態だけを使ってデータを表現・記憶・処理する方式のことをデジタルと呼ぶ。
パソコンの中身は、突き詰めればすべてこの2状態のオンオフの組み合わせでできている。
アナログとの違い
デジタルの対になる概念がアナログだ。アナログ機器は、電気信号を連続的な波として扱う。電圧や周波数が滑らかに変化し続けることでデータを表現する。
身近な例で言うと、昔ながらの黒電話や、AMラジオの受信機がアナログ機器にあたる。声の抑揚をそのまま電気の波の強弱に変換して送っているイメージだ。
一方、CDプレイヤーや地上デジタル放送(デジタルテレビ)はデジタル機器にあたる。音や映像の情報を、あらかじめ細かく区切って0と1の数値に変換してから扱っている。
この違いを波形で見るとわかりやすい。デジタル信号は「上」か「下」かのどちらかしか取らず、波形はカクカクした階段状になる。ある値からある値へ切り替わる瞬間も一瞬で、中間の値を通ることがない。
対してアナログ信号は、上がったり下がったりを滑らかに繰り返す曲線を描く。音波の強弱をそのまま写し取ったような形だ。
| 項目 | デジタル信号 | アナログ信号 |
|---|---|---|
| 表現する値 | 2つの状態のみ(オン/オフ) | 連続的に変化する値 |
| 波形のイメージ | 階段状(カクカク) | 曲線(滑らか) |
| 身近な例 | CDプレイヤー、デジタル放送 | 黒電話、AMラジオ |
なぜPCはデジタルなのか
パソコンは電気で動く装置であり、その内部にある記憶素子は「電圧がかかっているか、いないか」の2状態しか区別できない。つまり構造上、デジタルな値しか記憶できないということだ。だからパソコンは必然的にデジタル機器になる。
この「2つの状態しか扱えない」という制約が、次に説明する2進数という考え方につながっていく。一見不便に思えるかもしれないが、この単純さこそが、パソコンが高速かつ正確に動作できる理由でもある。
次回は、この2状態だけを使ってどうやって複雑な数値を表現しているのか、2進数の仕組みを見ていく。



