
AM5は、AMDが2022年9月に発表した最新のCPUソケット規格で、従来のAM4から大幅に進化した。AM5対応のRyzen CPUは、現在Ryzen 7000シリーズ、8000シリーズ、9000シリーズの3世代が展開されている。
AM5とは?Ryzen 7000・8000・9000シリーズの基礎知識
AM5の最大の特徴は、DDR5メモリとPCIe 5.0への対応である。DDR5は従来のDDR4と比べて約2倍の帯域幅を実現し、大容量データの処理速度が飛躍的に向上した。PCIe 5.0は前世代の2倍の転送速度を持ち、高速SSDやグラフィックカードの性能を最大限引き出せる。
従来のAM4との違いは物理的な形状から始まる。AM5は1718ピンのLGA構造を採用し、AM4の1331ピンPGA構造から変更された。これによりCPU側にピンがなくなり、マザーボード側のソケットがCPUを固定する仕組みに変わった。
Ryzen 7000シリーズは5nm製造プロセスを採用した初代AM5 CPUで、全モデルに統合グラフィックス「RDNA 2」が内蔵されている。Ryzen 8000シリーズは主にAPUとして展開され、より強力な統合グラフィックスを搭載する。Ryzen 9000シリーズは2024年登場の最新世代で、アーキテクチャの改良により性能と電力効率が向上した。
AM5プラットフォームではA620、B650、X670の3つのチップセットが用意されており、予算と用途に応じて選択できる。エントリーモデルのA620から、オーバークロック対応のX670まで幅広いラインナップが揃っている。
AM5は2025年以降も長期サポートが予定されており、将来的なCPUアップグレードにも対応する拡張性の高いプラットフォームとして設計されている。
Ryzen AM5 CPU全ラインナップと性能階層
AM5対応のRyzen CPUは性能と価格帯によって5、7、9の3つのシリーズに分類されている。各シリーズには明確な性能差があり、用途に応じた選択が重要だ。
Ryzen 5シリーズの特徴
Ryzen 5は6コア12スレッド構成で、コストパフォーマンスを重視したミドルクラスのCPUだ。代表的なモデルはRyzen 5 7600と7600Xで、ゲーミング用途では十分な性能を発揮する。Cinebench R23のマルチコアスコアは約15,000点前後を記録し、一般的な作業からライトなクリエイティブ作業まで対応できる。


Ryzen 5 9600Xは最新世代として登場し、従来モデルから約10%の性能向上を実現した。ゲームでの平均フレームレートは、RTX 4070と組み合わせた場合、1440p環境で多くのタイトルが100fps以上で動作する。

Ryzen 7シリーズの特徴
Ryzen 7は8コア16スレッド構成で、ゲーミングとクリエイティブ作業の両方で高い性能を発揮する。Ryzen 7 7700Xと7800X3Dが人気モデルで、特に7800X3Dは大容量3Dキャッシュによりゲーミング性能が突出している。


Cinebench R23では約20,000~25,000点のスコアを記録し、動画編集や配信作業でも快適に動作する。Adobe Premiere Proでの4K動画エンコードでは、Ryzen 5と比較して約30%高速な処理が可能だ。
Ryzen 7 9700Xは2024年モデルとして、電力効率の改善と共に性能向上を果たした。ゲーミング用途では7800X3Dに次ぐ高性能を実現している。

Ryzen 9シリーズの特徴
Ryzen 9は12コア24スレッドまたは16コア32スレッド構成のハイエンドCPUで、プロフェッショナル向けの最高性能を提供する。Ryzen 9 7900Xは12コア24スレッド、9950Xは16コア32スレッドを搭載し、重いクリエイティブ作業に最適だ。



Cinebench R23では30,000~40,000点超のスコアを記録し、3DCGレンダリングや大規模な動画編集プロジェクトでその威力を発揮する。Blenderでのレンダリング時間は、Ryzen 7と比較して約40%短縮される。
Ryzen 9 9900Xと9950Xは最新のZen 5アーキテクチャを採用し、従来世代から約15%の性能向上を実現した。特にマルチスレッド性能の向上が顕著で、プロ向けアプリケーションでの処理速度が大幅に改善されている。
項目 | Ryzen 7000シリーズ | Ryzen 8000シリーズ | Ryzen 9000シリーズ |
---|---|---|---|
最大コア数 | 16コア/32スレッド | 8コア/16スレッド | 16コア/32スレッド |
最大クロック | 最大5.7GHz | 最大5.1GHz | 最大5.5GHz |
TDP | 65W~170W | 65W | 65W~170W |
主な特徴 | 初代AM5 | 統合GPU強化 | 最新アーキテクチャ |
対象用途 | ゲーミング・作業全般 | 軽量ゲーミング・省電力 | 高負荷ゲーム・動画編集 |
基本仕様比較
項目 | Ryzen 7000シリーズ | Ryzen 8000シリーズ | Ryzen 9000シリーズ |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Zen 4 | Zen 4 / Zen 4c | Zen 5 |
製造プロセス | 5nm | 4nm / 5nm | 4nm |
発売時期 | 2022年9月 | 2024年2月 | 2024年8月 |
ソケット | Socket AM5 | Socket AM5 | Socket AM5 |
内蔵GPU | 標準搭載 | 強化版RDNA 3 | 標準搭載 |
AI機能 | なし | NPU搭載モデルあり | なし |
代表モデル比較
シリーズ | エントリー | ミドル | ハイエンド |
---|---|---|---|
7000 | Ryzen 5 7600 | Ryzen 7 7700X | Ryzen 9 7950X |
8000 | Ryzen 5 8500G | Ryzen 7 8700G | Ryzen 7 8700F |
9000 | Ryzen 5 9600X | Ryzen 7 9700X | Ryzen 9 9950X |
用途別性能目安
ゲーミング用途では、Ryzen 5でも十分な性能を発揮するが、高リフレッシュレート環境や将来性を考慮するとRyzen 7が推奨される。動画編集や配信では8コア以上のRyzen 7が快適な作業環境を提供する。3DCGや建築CADなどの重い作業には、Ryzen 9の多コア性能が威力を発揮する。
各シリーズとも統合グラフィックス「RDNA 2」を内蔵しており、軽いゲームや動画再生程度なら専用グラフィックカードなしでも対応可能だ。
価格帯別おすすめAM5 CPU 2025年最新版
AM5対応Ryzen CPUの価格帯は、発売から時間が経過し2025年現在では選択肢が大幅に増加している。予算に応じた最適なモデルを選択することで、コストパフォーマンスの高いシステム構築が可能だ。
2万円未満のエントリークラス
この価格帯ではRyzen 5 7500Fが最有力候補となる。6コア12スレッド構成で、統合グラフィックスは非搭載だが、別途グラフィックカードを使用する前提なら十分な性能を発揮する。ゲーミング用途でも、RTX 4060クラスのグラフィックカードと組み合わせれば、1080p環境で多くのタイトルが快適に動作する。

エントリー向けAPUとしてはRyzen 5 8500Gも選択肢に含まれる。統合グラフィックス「RDNA 3」を搭載し、軽いゲームなら専用グラフィックカードなしでも対応可能だ。予算を抑えつつ、将来的にグラフィックカードを追加する拡張性も確保できる。

2万円から4万円のミドルクラス
この価格帯は最もコストパフォーマンスが高い激戦区だ。Ryzen 5 7600は約2万5千円前後で購入でき、6コア12スレッドの基本性能に加えて統合グラフィックスも搭載している。TDP 65Wの省電力設計で、付属の純正クーラーでも十分な冷却が可能だ。

より高性能を求めるならRyzen 7 7700が推奨される。8コア16スレッド構成で、動画編集や配信作業でも快適な動作を実現する。価格は約3万5千円前後と手頃で、長期間の使用を考慮すると投資効果が高い。

Ryzen 5 9600Xは最新世代として、従来モデルから約10%の性能向上を果たしている。価格は約3万円前後で、将来性を重視するユーザーに適している。

4万円から6万円のハイミドルクラス
この価格帯ではゲーミング特化のRyzen 7 7800X3Dが圧倒的な人気を誇る。96MBの大容量3Dキャッシュにより、ゲーミング性能では他の追随を許さない。価格は約8万円程度で推移しているが、ゲーミング性能を最優先するなら最良の選択肢だ。

クリエイティブ作業重視ならRyzen 7 9700Xが推奨される。最新のZen 5アーキテクチャにより、マルチスレッド性能が大幅に向上している。動画編集やレンダリング作業での処理速度向上が期待できる。

Ryzen 9 7900は12コア24スレッド構成で、プロ向けアプリケーションでの高い処理能力を提供する。価格は約5万円台後半で、ハイエンド性能をより手頃な価格で入手できる。

6万円以上のハイエンドクラス
最高性能を求めるならRyzen 9 9950Xが頂点に位置する。16コア32スレッド構成で、最大クロック5.7GHz、128MBの3Dキャッシュを搭載している。3DCGレンダリングや大規模な動画編集プロジェクトでその威力を発揮する。

Ryzen 9 9900Xは12コア24スレッドで、約6万5千円前後で購入できる。9950Xとの価格差を考慮すると、多くのユーザーには十分すぎる性能を提供する。

ゲーミング最優先ならRyzen 7 9800X3Dも候補に含まれる。8コア16スレッドで動作し、基本クロックは4.7GHz、最大ブーストクロックは5.2GHzを実現している。7800X3Dの後継として、さらなるゲーミング性能向上を果たした。

コストパフォーマンス重視の選択指針
最高のコストパフォーマンスを求めるならRyzen 7 7700が鉄板の選択肢だ。8コア16スレッドの余裕ある性能で、ゲーミングからクリエイティブ作業まで幅広く対応できる。純粋なゲーミング性能重視なら予算を増やしてでも7800X3Dを選択する価値がある。

エントリーレベルではRyzen 5 7600が安定した選択肢となり、将来的なアップグレードパスも確保しながら現在の作業を快適にこなせる性能を提供する。

用途別CPU選択ガイド – ゲーム・クリエイティブ・一般用途
AM5対応Ryzen CPUは用途によって最適なモデルが大きく異なる。使用目的を明確にした上で適切な性能レベルを選択することで、予算内で最高のパフォーマンスを実現できる。
ゲーミング向けCPU選択
ゲーミング用途では単純にコア数が多いCPUが最適とは限らない。多くのゲームタイトルは8コア以下での動作を前提としており、キャッシュ容量とクロック周波数がフレームレート向上の鍵となる。
Ryzen 7 7800X3Dは96MBの大容量3Dキャッシュにより、ゲーミングでは圧倒的な性能を発揮する。Cyberpunk 2077を4K環境でプレイした場合、通常のRyzen 7 7700Xと比較して約15%高いフレームレートを記録する。特にオープンワールド系ゲームや、大容量データを扱うタイトルでその差が顕著に現れる。

コストパフォーマンス重視ならRyzen 5 7600Xが推奨される。6コア12スレッド構成でも、RTX 4070クラスのグラフィックカードと組み合わせれば、1440p環境でApex Legendsが平均120fps以上で動作する。eSportsタイトルなら十分な性能を確保できる。

最新世代のRyzen 7 9700Xは、従来モデルから約10%のゲーミング性能向上を実現した。将来発売されるタイトルへの対応力も考慮すると、長期使用を前提とした投資効果が高い。

動画編集・配信向けCPU選択
動画編集や配信作業ではマルチスレッド性能が重要で、エンコード処理やリアルタイム配信での安定性が求められる。8コア以上のCPUが快適な作業環境を提供する。
Ryzen 7 7700Xは8コア16スレッド構成で、Adobe Premiere Proでの4K動画編集において優秀な性能を発揮する。10分間の4K動画をH.264でエンコードした場合、約8分で処理が完了し、作業効率が大幅に向上する。
より重い処理を扱うならRyzen 9 7900Xが適している。12コア24スレッドの処理能力により、複数の動画トラックを使用した複雑な編集作業でも快適に動作する。DaVinci Resolveでのカラーグレーディング作業では、リアルタイムプレビューが途切れることなく作業を継続できる。

配信とゲームの同時実行を前提とするなら、Ryzen 7 9700Xが推奨される。最新のアーキテクチャにより電力効率が改善され、長時間の配信でも安定した動作を維持する。OBS Studioでの1080p配信では、CPU使用率を70%以下に抑えながら高品質な配信が可能だ。

オフィス作業・一般用途向けCPU選択
一般的なオフィス作業や軽い動画視聴程度なら、エントリーレベルのCPUでも十分な性能を発揮する。予算を抑えつつ必要な機能を確保することが重要だ。
Ryzen 5 8600Gは統合グラフィックス「RDNA 3」を搭載し、専用グラフィックカードなしでも軽い作業から動画再生まで対応できる。Microsoft Office系アプリケーションの動作では、Intel Core i5シリーズと同等以上の性能を発揮する。
複数アプリケーションの同時実行が多い環境では、Ryzen 5 7600が推奨される。6コア12スレッド構成により、Webブラウザでタブを多数開きながらExcelでの作業を行っても、動作の重さを感じることがない。

将来的な拡張性を重視するなら、Ryzen 7 7700を選択する価値がある。現在は過剰な性能でも、数年後のソフトウェア要求スペック向上に対応できる余裕がある。

実際の使用例による性能差
実際の使用例として、同じ作業環境でCPUを比較した結果を紹介する。4K動画の書き出し作業では、Ryzen 5 7600で約20分かかる処理が、Ryzen 7 7700Xでは約14分、Ryzen 9 7900Xでは約10分で完了する。
ゲーミングでは、Fortniteを1440p環境でプレイした場合、Ryzen 5 7600Xで平均140fps、Ryzen 7 7800X3Dで平均165fpsを記録する。フレームレートの安定性も7800X3Dの方が優秀で、最低フレームレートの落ち込みが少ない。
用途を明確にした上で適切なCPUを選択することで、予算内で最高の作業環境を構築できる。
AM5対応マザーボードの選び方とセット購入のコツ
AM5対応マザーボードはA620、B650、X670の3つのチップセットに分類され、それぞれ異なる機能と価格帯を持つ。CPUの性能を最大限引き出すには、用途と予算に応じた適切なチップセット選択が重要だ。
チップセット別特徴と選択指針
A620チップセットはエントリーレベル向けで、基本機能に特化した設計となっている。CPUオーバークロック機能は非対応だが、DDR5メモリとPCIe 5.0には対応する。価格は1万円台前半から購入でき、Ryzen 5シリーズとの組み合わせでコストを抑えたシステム構築が可能だ。
B650チップセットはミドルクラス向けで、CPUオーバークロック機能に対応している。拡張スロットやUSBポート数も充実し、将来的な拡張性も確保できる。価格は1万5千円から3万円程度の幅広いラインナップが揃い、最も選択肢が豊富なチップセットだ。
X670チップセットはハイエンド向けで、最大限の拡張性とオーバークロック性能を提供する。複数のPCIe 5.0スロットや豊富なUSB 3.2ポートを搭載し、プロフェッショナル用途にも対応できる。価格は3万円以上となるが、Ryzen 9シリーズの性能を完全に引き出せる。
CPU別推奨マザーボード
Ryzen 5シリーズには、B650チップセットのエントリーモデルが最適だ。ASUS PRIME B650M-Aは約1万8千円で購入でき、必要な機能を過不足なく搭載している。オーバークロック機能も使用でき、将来的なメモリ増設にも対応する。

Ryzen 7シリーズでは、B650の上位モデルまたはX670エントリーモデルが推奨される。MSI MAG B650 TOMAHAWK WIFIは約2万5千円で、Wi-Fi 6E対応や強化された電源回路により安定した動作を実現する。7800X3Dのような高性能CPUでも十分な電源供給が可能だ。

Ryzen 9シリーズには、X670チップセットの採用が必須となる。ASUS ROG STRIX X670E-F GAMING WIFIは、16+2フェーズの堅牢な電源設計を採用しており、Ryzen 9 9950XのようなハイエンドCPUでも安定した動作とオーバークロック可能だ。
PCIe 5.0対応のM.2スロットを複数搭載しており、最新SSDとの組み合わせも万全。ネットワーク面でも2.5Gb EthernetポートとWi-Fi 6Eを備えており、高速通信環境を求めるユーザーにも対応する。

セット購入時の重要な注意点
CPU購入時はマザーボードとの世代互換性を必ず確認する必要がある。初期のB650マザーボードでは、Ryzen 9000シリーズを使用するためにBIOSアップデートが必要な場合がある。販売店でのセット購入なら、事前にBIOSが更新された状態で出荷されることが多い。
メモリとの相性も重要な要素だ。AM5プラットフォームではDDR5メモリが必須となるが、高速なDDR5-6000以上のメモリを安定動作させるには、マザーボードのメモリサポートリストを確認する必要がある。特にRyzen 9000シリーズでは、EXPO対応メモリとの組み合わせで最高性能を発揮する。
電源容量の計算も忘れてはならない。Ryzen 9 9950XとRTX 4080を組み合わせる場合、最低でも850W以上の電源ユニットが必要となる。マザーボードの電源コネクタ仕様も確認し、必要なケーブルが電源ユニットに付属しているか事前に確認する。
購入タイミングとコストダウンのコツ
CPUとマザーボードのセット購入では、販売店独自のセット割引が適用されることが多い。PCパーツ専門店では、5%から10%程度の割引が期待できる。新製品発表直後は価格が高騰するため、発売から3ヶ月程度経過したタイミングでの購入が価格面で有利だ。
型番末尾の違いにも注意が必要で、「WIFI」モデルは無線LAN機能付きで価格が約3千円高くなる。有線接続のみで使用するなら、標準モデルを選択してコストを抑えられる。
マザーボードの選択では過剰な機能を避け、実際に使用する機能に焦点を絞ることコストを抑えられる。将来的な拡張予定を明確にした上で、必要最小限の機能を備えたモデルを選択しよう。
AM5 CPU購入前の注意点とよくある質問
AM5 CPUへの移行では、従来のAM4環境からの変更点が多数存在する。購入前に確認すべき重要なポイントを理解することで、トラブルを避けてスムーズなシステム構築が可能だ。
DDR5メモリ必須の影響
AM5プラットフォームではDDR5メモリが必須となり、従来のDDR4メモリは使用できない。DDR5メモリはDDR4と比較して約2倍の価格となるため、システム全体の構築費用が上昇する要因となる。
DDR5-4800が標準仕様だが、Ryzen CPUの性能を最大限引き出すにはDDR5-5600以上の高速メモリが推奨される。特にRyzen 9000シリーズでは、EXPO対応のDDR5-6000メモリとの組み合わせで約10%の性能向上が期待できる。
メモリ容量は最低16GB、推奨32GBが現在の標準となっている。ゲーミング用途でも16GBでは不足する場面が増えており、将来性を考慮すると32GB構成が安心だ。
CPUクーラー付属状況の確認
Ryzen CPUのクーラー付属状況はモデルによって大きく異なる。エントリーモデルのRyzen 5 7600やRyzen 7 7700には純正クーラー「Wraith Stealth」が付属するが、上位モデルの7600X、7700X、全てのRyzen 9シリーズにはクーラーが付属しない。
Ryzen 9000シリーズでは全モデルでクーラー非付属となっており、別途購入が必要だ。TDP 170WのRyzen 9 9950Xでは、240mm以上の水冷クーラーまたは大型空冷クーラーが必須となる。
AM5ソケットはAM4と同じ取り付け規格を採用しているため、既存のAM4対応クーラーがそのまま使用できるが、古いクーラーでは最新CPUの発熱に対応できない場合があるため、TDP値の確認が重要だ。
アップグレード時の重要な注意点
AM4からAM5への移行時は、マザーボード、CPU、メモリの3点セット交換が必要となる。既存のグラフィックカードやストレージ、電源ユニットは流用できるが、古い電源ユニットでは電力不足が発生する可能性がある。
BIOSの初期設定も重要な要素だ。新しいマザーボードでは、CPUやメモリの動作設定が最適化されていない場合があり、手動での設定変更が必要になることがある。EXPO設定の有効化やPBO設定の調整で性能が大きく変わる。
Windows 11への移行も検討する必要がある。AM5 CPUは最新のWindows 11で最適化されており、Windows 10では一部機能が制限される場合がある。
保証とサポート体制
AMD CPUの保証期間は3年間で、国内正規代理店経由での購入なら日本語サポートが受けられる。並行輸入品では保証対象外となる場合があるため、購入時の確認が重要だ。
初期不良の判断基準として、CPUが全く起動しない場合は明確だが、動作が不安定な場合の切り分けが困難となることがある。マザーボードやメモリとの相性問題の可能性もあるため、購入店舗での動作確認サービス利用が推奨される。
RMA対応時の代替品提供は基本的に行われないため、業務用途で使用する場合は予備機の準備が必要だ。
よくある質問
Q.AM4クーラーは使用できるか
A.物理的な取り付けは可能だが、最新CPUの発熱量に対応できない場合がある。Ryzen 9シリーズでは冷却能力不足により性能低下が発生する可能性が高い。
Q.DDR5-6000は本当に必要か
A.ゲーミング用途では体感差は少ないが、クリエイティブ作業では明確な効果が現れる。予算に余裕があれば高速メモリを選択する価値がある。
2025年のAM5 CPU市場展望と買い時判断
新しい AMD Ryzen™ X3D モデルは、 2025 年第 1 四半期に店頭に並ぶ予定となっており、2025年上半期は新たなX3Dモデルの展開が注目される。現在はRyzen 7 9800X3Dが単体でラインナップされているが、今後Ryzen 5やRyzen 9の上位モデルにもX3D技術が展開される見込みだ。これらの新モデルは既存のSocket AM5プラットフォームで動作するため、マザーボードの買い替えは不要である。
価格動向は安定化の兆し
2024年後半からRyzen 7 9800X3Dが80000円程度で販売されており、X3Dシリーズの価格帯がやや上振れぎみだ。
通常のRyzen 9000シリーズはホリデーシーズンのプロモーション価格として最大50ドル値下げが実施されるなど、メーカー側も積極的な価格戦略を展開している。Ryzen 7 9700Xなどのミドルレンジモデルは、コストパフォーマンスの観点から注目度が高い。
今買うべきか待つべきかの判断基準
現在購入を検討している場合、用途と予算に応じて判断が分かれる。ゲーミング用途で最高性能を求めるなら、8コア16スレッドで動作する、ソケットAM5対応のRyzen 7 9800X3Dが現時点でのベストチョイスだ。一方、コンテンツ制作や汎用作業が中心なら、2025年第1四半期の新X3Dモデル発表を待つ価値はある。
プラットフォームの長期サポートが安心材料
AM5プラットフォームはZen 5アーキテクチャを採用し、Socket AM5に対応しており、今後数年間のCPUアップグレードパスが確保されている。
DDR5メモリやPCIe 5.0といった最新規格にも対応済みで、長期的な投資価値は高い。現在のマザーボードでも将来の新CPU世代をサポートする可能性が高く、システム全体の買い替えサイクルを延ばせる。
第1四半期の新X3Dモデル投入後、第2四半期以降はより幅広い価格帯での選択肢が増える見通しだ。Ryzen 5シリーズのX3D展開が実現すれば、ミドルレンジゲーミング市場での競争が激化し、価格面でのメリットも期待できる。一方で、供給状況や需要動向により、発売直後は品薄による価格上昇も考えられる。