ゲーミングノートPCとは、ゲームをストレスなく快適にプレイできるよう、高性能な処理能力とグラフィック性能を備えた携帯用パソコンのことだ。
近年のゲームは、グラフィックス性能の進化に伴い、リアルタイムレイトレーシング(光の動きを精緻にシミュレートし実在感あふれる映像を実現する技術)による実在感溢れる描写を実現している。そのため、ゲーミングPCには、最新の高性能CPUとGPU(グラフィックス処理装置)の組み合わせが不可欠となる。
有名ブランドのメーカーは、最新ゲームをフルスペックで動作させるため、CPU/GPUの性能はもちろん、大容量メモリ、高速ストレージ、高解像度液晶などを惜しみなく投入している。デザイン面でも個性的で洗練されたスタイリングが魅力だ。
冷却性能の強化も重視されている。独自の高効率クーリングシステムやファン、ヒートパイプなどを搭載し、発熱を抑えてパフォーマンスを最大化する。キーボードもメカニカル式を採用するなど、ゲーミング体験にこだわりが見られる。一部モデルでは、第3世代TCP/IPを高速化するWi-Fi 6Eなど先進の通信機能も備わる。
このように、ゲーミングノートPCは、持ち運びできる携帯性の高さとデスクトップPCに匹敵するハイスペックを両立。本格ゲームを、どこでもストレスなく楽しめる決定版ノートPCというわけだ。
ゲーミングノートPCと通常のノートパソコンの違い
ゲーミングノートPCは、その名の通りゲームをプレイすることに特化した携帯用パソコンだ。通常のノートPCとは大きく異なる点が2つある。
1つ目は、高性能なCPU(中央処理装置)とGPU(グラフィックス処理装置)を搭載していることだ。CPUはコンピューターの頭脳に当たり、GPUはグラフィック処理を専門に行う補助プロセッサで、ゲームの映像表現を向上させる役割を担う。
最新ゲームの重い処理を滑らかこなすには、性能の高いCPU/GPUの組み合わせが不可欠となる。
2つ目は、ゲームプレイへの最適化がなされている点だ。高解像度・高リフレッシュレートのディスプレイを搭載し、ゲームの映像を高画質で滑らかに表示できる。
さらにゲーマー向けにカスタマイズされたキーボードが採用されており、ストレスの無い操作性を実現する。冷却性能の強化も施され、ゲームの熱負荷にも強い。
ハードウェア・ソフトウェアの両面でゲーミング体験が追求されている。
またデザイン面でも、スタイリッシュでゲーミングPCらしい個性的な外観が特徴だ。ただし機能性やコストパフォーマンスにも優れ、ゲーマー以外のユーザーにも人気が高い。
ゲーミングノートPCに搭載されているグラフィックボードの選び方
ゲーミングノートPCに搭載されるグラフィックボードは、主にNVIDIAの「GeForce」、AMDの「Radeon」、Intelの「Arc」の3つのブランドから選ばれる。
同じグレードや価格帯でも、各社のGPUアーキテクチャの違いにより、得意とするゲームジャンルが異なってくる。
NVIDIAの GeForceは、リアルタイムレイトレーシング(光の動きを精緻に再現する技術)に強みを持つ。AMDの Radeonは従来から幾何計算の高速化に長けており、アクションゲームなどで有利だ。一方でIntelの Arcは新興ブランドながら、AI機能を活かしたアップスケーリング技術に優れる。
プレイするゲームタイトルによっては、それぞれのGPUアーキテクチャの長所短所があるため、ゲームジャンルに合わせてGPUを選ぶといい。
人気のゲームタイトルは、ベンチマークスコアなどから各GPUの性能を比較チェックできる。GeForce、Radeon、Arcのいずれを選んでも、最新の主要ゲームタイトルはプレイ可能ではあるが、グラフィック設定を最大化したい場合は得意ジャンルのGPUを選ぶのがおすすめだ。
ゲーミングノートPCに要求される理想的なスペック
ゲーミングノートPCは、ゲームを快適にプレイするための高性能スペックが要求される。
理想的な構成としては、まずCPUは第12世代以降のIntel Core i7やAMD Ryzen 7以上の高クロックモデルが求められる。CPUの並列処理性能が高いほど、ゲームの複雑な演算をストレスなく処理できる。
GPUは、NVIDIAの最新GeForce RTXシリーズを搭載することが理想だ。リアルタイムレイトレーシング対応により、高度な映像描写が可能になる。グラフィックメモリも8GB以上が望ましい。
メモリは16GB以上のデュアルチャネル構成が基本スペックとなる。ゲームによっては32GBでも足りない場合がある。ストレージはNVMe SSD(フラッシュメモリーを採用した高速ストレージ)の大容量モデルを選ぶべきだ。ゲームのロード時間の短縮とスムーズな処理が可能になる。
さらに、ディスプレイは高解像度・高リフレッシュレート対応の液晶を搭載することが望ましい。高リフレッシュレートは240Hz以上が理想的で、ゲーム中の動きを滑らかに描写してくれる。
ハイスペックかつ、ゲームプレイに特化した設計となっているのがゲーミングノートPCだ。CPUとGPU、メモリ/ストレージといった主要パーツの性能が高いほど、リッチな3Dゲームを、もたつきなく快適にプレイ可能になる。
ゲーミングノートPCは外観のデザインも重要
ゲーミングノートPCは高性能な処理能力が重視されるが、外観のデザインも魅力の大きな部分を占める。ゲーマー向けの個性的でスタイリッシュなフォルムが、多くのメーカーで採用されている。
たとえばASUS ROGシリーズはシャープなラインとロゴの光るRGBライティングで、勇ましいイメージを体現している。
Alienwareは宇宙船のようなユニークな外観が人気だ。Razerは上品なブラック基調に適度なゲーミングPCらしさを盛り込んでいる。
このようにデザインは、単にかっこいいだけでなく、遊び心や気分転換の役割も担っている。ゲームに没入する前の高揚感を高める効果があるのだ。
一方で実用性の高さも忘れてはならない。USBポートや電源コネクタの配置など、使いやすさにも配慮されている。熱対策も重要で、メッシュ加工を施したボディにファンを効率的に配置し、パーツからの発熱を逃がす工夫がなされている。
デザインを追求しつつ、実用面での妥協はしていない。性能とデザイン性の高さに加えて、クオリティの高いゲーム体験を約束してくれるのがゲーミングノートPCの魅力である。
ゲーミングノートPCと合わせて使用したいゲーミングデバイス
ゲーミングノートPCを手に入れたら、次は快適なゲームプレイのため、ゲーミングデバイスの導入を検討するべきだ。
ゲーミングデバイスとは、ゲーム専用に設計された周辺機器のことで、ゲーミングPCと組み合わせることで一層楽しめるようになる。
代表的なものが「ゲーミングモニター」だ。高リフレッシュレート、高解像度、広視野角、HDRI対応など、ゲームの映像を最適に表示する。入力遅延も低減されており、臨場感あふれるゲーム体験ができる。
次に「ゲーミングヘッドセット」も重要だ。7.1chサラウンドなどで、音の迫力と立体感を実現。敵の動きの気配がリアルに感じ取れ、ゲームへの集中力が高まる。マイクも高性能で、オンライン対戦でチームメイトとクリアな通話も可能になる。
さらに「ゲーミングキーボード」と「マウス」の導入も見逃せない。高速レスポンスと打ち心地の良さで、素早い動作を可能にする。多数のプログラム可能なキーを備え、ゲームのショートカットキーにも対応できる。照明効果で見た目の個性も出せる。
このように単体ではゲーミングPCでも、ゲーミングデバイスと組み合わせることでより高い次元のゲーム体験が味わえる。ゲームジャンルに合わせデバイスを選べば、ゲームへの没入感とパフォーマンスが格段に向上する。
ゲーミングノートPCメーカー ブランド
主なゲーミングノートPCメーカーとしては、ASUSのROG(Republic of Gamers)、MSI(Micro-Star International)、DellのAlienwareなどが有名。他にもRazer、Acer Predator、Lenovo Legion、HP OMENなどのゲーマー向けブランドがある。国内メーカーではドスパラ、パソコン工房、マウスコンピューターのG-Tuneなどもラインナップを揃えている。
- ASUS ROG (Republic of Gamers)
- MSI (Micro-Star International)
- Alienware (Dellの子会社)
- Razer
- Acer Predator
- Lenovo Legion
- HP OMEN
- GIGABYTE
- ガレリア(ドスパラ)
- パソコン工房
- G-Tune (マウスコンピューター)
これらのメーカーは、CPUやGPUの最新モデルを搭載し、優れた冷却性能と拡張性を備えたゲーミングノートPCを数多く投入している。
筐体のデザインもゲーミングPCらしいスタイリッシュなものが多い。ゲーミングノートPCは価格が高めに設定されているが、ゲームでの映像体験や処理性能を重視するユーザーに人気が高い。
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ゲーミングノートPCの価格
ゲーミングノートPCの価格は、10万円から50万円を超えるハイスペックモデルまで幅広く存在する。
まず10万円台は、エントリー向けの比較的リーズナブルな製品が多い。省電力設計のCPU/GPUを搭載するため高負荷ゲームには向かないが、ライトゲーマーや初心者に人気だ。
15万円から20万円台になると、中級クラスのスペックが主流となる。最新タイトルでもある程度快適にプレイできるレベルで、ゲーマー入門機としておすすめだ。
20万円台後半から30万円台にかけては、ハイエンドゲーミングPCが位置する。最上位CPUやGPU、高速大容量メモリ/ストレージなどを搭載し、最新ゲームでもフルスペック設定が可能になる。本格的なゲームを求めるユーザー向けだ。
50万円を超えると、ゲーミングPCの最上位帯となる。高クロックCPU、オーバークロック対応GPUなどを備え、リアルタイムレイトレーシングの映像描写でも高フレームレートを実現する。さらに優れた冷却性能と拡張性も魅力で、ゲームだけでなく動画編集などのクリエイター向けにも適している。
価格とスペックはプロポーショナルな関係にあり、予算に合わせて幅広い選択肢がある。初心者から上級者まで、用途に合わせてベストなゲーミングノートPCが見つかるだろう。
ゲーミングノートPCのデメリット
ゲーミングノートPCは、一般的なノートPCと比べると、より高速なCPUやGPU、大容量のメモリ、優れた冷却機構などを備えている。しかし、その特性から様々なデメリットも存在している。
まず、高性能な部品を小型化する必要があるため、同スペックのデスクトップPCと比べると製造コストが高くなり、コストパフォーマンスが低下する。高い消費電力により、バッテリーの持ち時間も短くなってしまう。
また、小型の筐体から排熱性能にも制約があり、長時間のゲームプレイで本体が熱くなったり、冷却ファンの騒音が大きくなったりしやすい。15~17インチと画面サイズも比較的小さめなため、デスクトップディスプレイほどゲームを没入して楽しめない。
さらに、一般的なノートPCと同様、部品の交換などカスタマイズ性に乏しく、重量も2kg以上と決して軽くない。高負荷時のファン音による周囲への影響も考慮する必要がある。
このようにゲーミングノートPCは、持ち運び可能という利点はあるものの、上記のようなデメリットを理解した上で、用途に合わせて適切に選ぶ必要がある。
ゲーミングノートPCとデスクトップPCの性能差
ゲーミングノートPCと同じ価格のデスクトップPCを比較すると、一般的にデスクトップPCの方が高性能である。デスクトップPCはサイズや電力の制約が少なく、より強力な冷却システムや高性能なパーツを搭載できるからだ。
デスクトップPCがノートPCを上回っているのは以下の点だ。
- CPUやGPUの最上位モデルをノートPCより搭載しやすい
- 冷却性能が高く、CPUやGPUの性能を最大限引き出せる
- 電源ユニットの容量が大きく、パーツに十分な電力を供給できる
- メモリやストレージなどを大容量化しやすい
- 拡張性が高く、GPUの二枚挿しなどの特殊構成ができる
ノートPCはモバイル向けの低消費電力設計となっているため、同一世代の部品を使った場合、デスクトップPCに比べて10~30%程度性能が低下すると言われている。
急激な発熱対策が必要なノートPCでは性能を100%引き出すのが難しいため、デスクトップPCとの性能差は更に開く可能性がある。
ノートPCは、同レベルの部品でも小型化やモバイル性のために価格が高くなりがちで、デスクトップPCの方がより多くの性能を同じ価格で得られる。
具体的な性能はモデルや構成によって異なるが、ゲーミングノートPCと同じ価格のデスクトップPCは、1.5〜2倍の性能差とも、2~3割程度とも言われている。ゲーミングノートPCとデスクトップPCの性能を直接比較するのは難しい面があるが、同価格帯ならデスクトップPCの方が高い性能を発揮する傾向にある。
ゲーミングノートPCは高額だから保証が大事
ゲーミングノートPCは高額な買い物だ。故障した場合の修理代が莫大な出費になる。そのため、購入時の保証内容を確認することが重要になる。
メーカーから1年間の無償保証が付いていることが多い。しかし、期間はメーカーやモデルによって異なる。自然故障のみが保証対象で、落下や水濡れなどの事故による故障は対象外となることが多い。
修理は通常、メーカー指定のサービスセンターで行われる。持ち込みか出張修理かも確認が必要だ。また、保証期間を延長する延長保証にも加入できるが、その料金は期間や内容によって異なる。
保証は経済的リスクを回避する上で重要な要素なので、ゲーミングノートPCの購入を検討する際には、各メーカーの保証内容を確認しニーズに合った保証に入るべきである。
まとめ
ゲーミングノートPCは優れた携帯性と高い処理能力を併せ持つが、いくつかのデメリットも存在する。CPUやGPUの力を余すところなく発揮できないケースもあり得る。購入を考えるなら、こういったデメリットを十分に理解し、自分のニーズにマッチした製品を選んでいこう。