「新しいパソコンを購入したいけれど、予算が限られている…」
こんな悩みを抱えていたりしないだろうか?
実は、中古ノートパソコンを賢く選べば、高性能な機種を安く手に入れられるかもしれない。でも、まったくの無知の状態で、中古機種を見極めるのは容易ではない。
中古パソコン市場には多くのブランドやモデルが存在し、同じモデルでも性能や信頼性に大きな差があるからだ。
本記事では、中古市場でよく見かける有名機種を紹介し、それぞれの特徴や性能、について詳しくみていく。
ぴったりの機種を見つけるために、中古パソコンの知識を身に付け、予算を抑えながらも高性能なパソコンを手に入れ、快適なパソコンライフを楽しもう。
おすすめの中古ノートパソコン名機メーカー
中古ノートパソコンを選ぶ際には、特に名機と呼ばれるようなモデルが存在している。これらの名機は、その性能や信頼性、そして時代を超えて使いやすさが評価されている。
この有名機種の中古品を好んで使うユーザーも少なくない。中古ノートパソコンを狙っているのなら、代表的なものくらいは頭に入れておこう。
IBM ThinkPad : 堅牢性と利便性を追求
ThinkPadは、1992年にIBMにより開発されたビジネス向けノートPCのシリーズだ。2005年にIBMからレノボに事業が移管された後も、レノボによりシリーズの伝統が受け継がれ、現在も新モデルが販売されている。
ThinkPadは、黒を基調とした独特のボックス型デザインが特徴で、キーボード中央の赤いトラックポイントがアイコンとなっている。初期のデザインコンセプトは、シンプルながらサプライズを孕む弁当箱に着想を得たものだ。IBM時代から内藤在正氏が中心となり開発が進められ、「ThinkPadの父」とも呼ばれている。
頑丈なマグネシウム合金ボディに加え、ハードディスク落下防止機能やTPMチップ、指紋認証リーダーなど、堅牢性と利便性を追求した様々な機能が搭載されてきた。レノボはIBMの理念を継承しつつ、常に先進のテクノロジーを投入し続けている。
外観やキーボードなどのデザインは長年にわたり大きな変更はないが、内部構造やディスプレイ、CPUなどのスペックは最新を採用し、ビジネスユーザーのニーズに応えている。中古モデルでも人気が根強く、型落ち品でも求めるユーザーも多い。購入時には各種の保証やサポート情報、在庫状況も確認する必要があるだろう。
MacBook Pro : パワフルな性能とスタイリッシュなデザインの高人気ラップトップ
MacBook Proシリーズはパワフルな性能とスタイリッシュなデザインで高い人気を誇っている。
MacBook Proは、Appleが開発・製造するMacラップトップシリーズである。2006年に初代が発表され、MacBookファミリーの上位ラインとしてハイエンドモデルに位置付けられている。現在は、Apple Silicon M シリーズチップを搭載した14インチと16インチモデルが販売されている。
初代モデルはIntelプロセッサを搭載し、ウェブカメラやMagSafe電源コネクタが導入された。その後、ユニボディデザインが採用され、より薄型でカラフルな筐体となった。Retinaディスプレイ搭載モデルが2012年に登場し、高解像度の液晶やSSDの標準採用、より薄型化が図られた。
2016年にはTouch Barが導入されたが、キーボードの不具合や周辺機器との互換性の問題が指摘された。2020年にはApple SiliconチップM1を搭載した13インチモデルがリリースされた。
2021年に発売された14インチと16インチモデルでは、M1 Pro/M1 Maxチップを搭載し、Touch Barに代えてファンクションキーが復活、HDMIポート・SDカードスロットの復活、ノッチ付き高解像度ディスプレイなどの変更が加えられた。
2023年にはM2 Pro/M2 Maxチップ搭載モデルがリリースされ、メモリ増量やディスプレイ出力の強化などがなされている。さらに2023年10月にはM3 Pro/M3 Maxチップを搭載した新モデルがラインナップされた。従来の13インチTouch Barモデルの後継としてM3チップ搭載の14インチエントリーモデルも投入された。
最新モデルでは、Appleシリコンの自社SoCチップM1やM2シリーズが搭載されており、X86アーキテクチャのCPUに比べて高い処理性能と省電力化が実現されている。14インチと16インチのRetinaディスプレイモデルがラインナップの主力で、画面解像度は非常に高精細である。
過去には第3世代以降のIntel CPUも搭載されていたが、AppleシリコンへのフルモデルチェンジによりIntel製CPUは搭載されなくなった。一方で、ユニボディやバタフライキーボードなど、長年のMacBook Proデザインは一部継承されている。
型落ちモデルの中古品も人気が高く、主要なリユース商品取扱店で探すことができる。
新品の購入は公式サイトから、CPUやメモリ、ストレージなどのカスタマイズ注文も可能で、より高性能な構成を選択できる。
MacBook Air:薄型軽量でありながら高性能を誇るAppleのエントリーモデル
MacBook Airは2008年から発売されているAppleのノートPCシリーズである。薄型軽量のアルミニウムユニボディが特徴で、13インチや11インチ(現行は13インチのみ)の液晶サイズが用意される。マグネシウム合金ボディなど堅牢性も高く、Intelプロセッサ世代ではハイスペックモデルとしてMacBook Proの下位に位置づけられていた。
2008年の初代は世界最薄を謳い、光学ドライブを省略するなど機能削減でボディを極限まで薄型化した。その後も世代を重ねるごとに薄型化が進み、一時期は11インチと13インチの2つのサイズがラインナップされていた。2016年には11インチが廃止された。
2018年にはRetinaディスプレイ採用と共にUSB-C端子を全面採用。2020年にはApple SiliconのM1チップ搭載モデルが投入され、ファンレス設計による静粛性と長時間駆動が実現した。
2022年にはM2チップ搭載で13.6インチディスプレイ採用と大型化が図られ、2023年には15インチサイズが追加された。M3モデルでは外付け2画面出力に対応するなど、性能も向上している。
薄型軽量でありながらパフォーマンスを備えたMacBook Airは、Apple製ノートPCのエントリーモデルとして人気が高い。長らく息の長い製品ラインナップとして継続的に改良が重ねられてきた。
Dell XPS: 先進的なスペックと洗練されたデザイン
先進的なスペックと洗練されたデザインで人気の有名ノートPC「Dell XPS」だ。
XPSはDellの高性能ノートPCラインで、1993年に発売された老舗ブランド。高スペックながら手頃な価格を実現した人気シリーズだ。当初はデスクトップPCから始まり、後にノートPCラインが追加された。
XPSは1993年に登場したDellのパソコンブランドである。当初は企業向け製品が主力だったDellが、新興の個人消費者市場を狙って立ち上げた新ラインだった。Gateway 2000に対抗する狙いがあり、最初の2製品は従来のDimensionシリーズの一部として投入された。
1994年にXPS 466Vが初のXPSデスクトップPCとしてリリースされ、好評を博した。しかし1997年以降、市場環境の変化に伴いXPSの存在感は薄れていった。
そこでDellは2005年にXPSラインを一新し、当時別会社だったAlienwareやFalcon Northwestとの競合を意識したラインナップとした。翌2006年にはAlienwareを買収し、コスト面でのシナジーを狙った。新XPSラインの当初の製品はAlienwareと同等スペックだった。
2008年にはStudio XPSラインが設けられ、AlienwareはゲーミングPCに特化する整理が行われた。2009年にはAlienware/Dell共同ブランドの最初のゲーミングノートM17xが投入された。
このようにDellは、消費者市場に参入するため、ゲーミングPCメーカーの買収と自社ブランドの再編を行いながら、XPSブランドを高性能製品の看板に育て上げてきた歴史がある。
HP EliteBook: 堅牢性と高い信頼性で知られるビジネス向け高性能ノート
ビジネス向け高性能ノートPCとして知られる「HP EliteBook」シリーズだ。堅牢な設計と高い信頼性が特徴で、中古品でも現役で活躍できる製品が多い。
EliteBookは、HPが製造するビジネス向けハイエンドノートPCのシリーズである。小規模ビジネス向けProBookの上位モデルとして、2008年に旧Compaqのハイエンドラップトップの後継として投入された。過去には、モバイルワークステーションもEliteBookブランドに含まれていたが、2013年にZBookブランドに移行した。
EliteBookの大きな特徴は、軍用規格MIL-STD-810に準拠した、過酷な環境下での高い信頼性と性能である。温度、高度、湿度、ほこり、衝撃、振動などに対する堅牢性を備えている。マグネシウム合金ボディ、アルミ製の蓋・パームレスト、防滴キーボード、HDDの衝撃保護機構、デュアルポインターデバイス(タッチパッド+ポインティングスティック)を搭載する。
初期モデルにはキーボードバックライト(Night Light)が標準装備されていた。後継モデルでは、15/17インチワークステーションモデルにオプションでバックライトキーボードが用意された。一部モデルではSSDストレージが選択可能である。
EliteBookは、同じくビジネス向けのAcer TravelMate、Dell Latitude、Lenovo ThinkPad、東芝 Portégé/Tecraなどと競合する製品ラインナップである。ビジネス需要を意識した堅牢性や信頼性の高さが売りとなっている。
レッツノート: 高級で信頼性の高い国内製造富士通のノートPC
長年にわたり根強い人気を誇るレッツノートシリーズだ。パナソニックブランドの高級ノートPCで、高価格ながら高水準の作り込みが特徴だ。中古品を検索すれば手頃な値段で入手できるが、中古特有の注意点もあるので注意しておこう。
レッツノートシリーズは、高価格帯ながら高品質を前面に打ち出したモバイルPCで、長年顧客の信頼を得続けている。発売以来モバイル機種に徹しており、ビジネス向けのノングレア液晶とマグネシウム筐体が特徴だ。
レノボThinkPad Xシリーズと同様の位置づけで、HPやDellとも競合している。他社製品が廉価化する中でも、3倍程度の高価格帯を維持しているが、高速起動や軽量化、長時間バッテリー駆動など最適化が施されている。
かつてはトラックボールを搭載していたが、薄型軽量化の流れで現在はタッチパッドのみだ。丸型のタッチパッドを採用し、頑丈な筐体と長時間バッテリーを売りにしている。W/Yシリーズではトップローディング式光学ドライブを内蔵し話題を呼んだ。
グラフィック性能は控えめだが、Thunderbolt 3によりeGPUの利用が可能だ。2007年以前はファンレス設計が多かったが、CPUの発熱増で2007年秋からファン搭載に移行した。
過去にはサイズ別でクラス分けされていたが、現在は「LIGHT」と「PRO」に統一されている。PROラインは企業向けで、保証延長やOSバージョン選択が可能だ。
法人向けには防塵・防水の「TOUGHBOOK」シリーズ、海外では「Toughbook Light」としても販売されており、一部は軍納入実績もある。製造拠点は神戸の国内一貫生産である。
液晶の視野角が狭いことは課題とされてきたが、最近はIPSパネル採用で改善している。狭視野角はビジネス用途では必ずしも欠点とはならず、むしろ横からの覗き見防止の利点ともいえる。長時間の文書作業では発色よりもノングレアが重視される傾向にある。
中古のレッツノートでは、CPUなどの主要スペックは型落ちだが、作り込みの良さから状態が良好な製品も多い。キーボード経年劣化など注意が必要だ。
NEC LAVIE: 長きにわたる人気のあるNECのノートPCシリーズ
長きにわたり人気を集めてきたNECのノートPC「LAVIE」シリーズは中古でも人気だ。
LAVIEは、日本電気(NEC)の個人向けパソコン製品のブランド名である。フランス語で「生命(La Vie)」を意味する言葉に由来する。
1995年にWindows 95発売を機に「98NOTE Lavie」としてPC-9821シリーズのノートPCとして誕生したが、後にPC/AT互換機の「PC98-NXシリーズ」に移行した。2004年の春モデルでブランドロゴが一新された。
2011年7月、NECはパソコン事業を分社化し、合弁会社のLenovo NEC Holdings B.V傘下でNECパーソナルコンピュータが製品の企画・開発・製造を手掛けるようになった。
2015年に発売20周年を迎え、ノートPCに加えてデスクトップPCの「VALUESTAR」ブランドも統合された。
NEC VersaPro: 高性能な法人向けノートPCブランド
VersaProは、NECが1997年から販売している法人向けノートパソコンブランドだ。型落ち品でも高性能を維持しているため、中古市場での人気が高い。
VersaProは、1997年にNECが法人ユーザー向けにPC/AT互換機ノートPCとして投入したブランドである。現在も法人向けに販売されており、豊富なカスタマイズオプションが用意されている。法人向けノートPCとしては「VersaPro」、SOHO・中小企業向けには「VersaPro J」と、対象に合わせてブランド分けされている。
同社の個人向けノートPC「LAVIE」とは異なり、VersaProにプリインストールされるのはOfficeアプリやセキュリティソフトなど、ビジネス用途のソフトウェアに特化されている。NECの強力なサポート体制と、国内メーカーPCとしては安価な点が評価され、個人のパワーユーザーからも人気が高い。
一般の家電量販店での取り扱いは少ないが、構成済みの廉価モデルが数量限定で販売されることもある。一方、パソコンショップでは中古・新品ともに取り扱いがあり、構成済み個人向けモデルも販売されている。直販サイトやビジネスPC専門店では、メモリ、ストレージ、指紋センサーなど、購入時に必要な構成を選択できる。
ビジネス向けPCとして販売されているが、ビジネスPC取扱店やNEC直販の「NEC Direct」「NEC得選街」からも購入可能である。
東芝 ダイナブック: 日本の名門PCメーカーが誇るノートPC
日本を代表するPCメーカー東芝の名門ノートPC「ダイナブック」シリーズだ。長年の実績と信頼性から、中古品でも現役活躍できる製品が多い。
1991年に東芝はOADGに加盟し、ダイナブックも独自の日本語表示機能から、純粋なPC/AT互換機(いわゆるDOS/V)に移行し、キーボード配列もOADG準拠の配列に移行した。ノートPCに必要な部品の多くを自社またはグループ会社で開発生産し、新開発の部品を用いた製品を他社に先駆けて発売した。
1990年代後半の機種は、自社開発のBIOS、チップセット、メインメモリー、ハードディスク、光学ディスクドライブ、液晶パネル、バッテリーセルなどの部品が東芝またはグループ会社の製品で構成されている製品もある。ノートPCに最適化したチップセットの開発で培った電力制御技術を活かして、インテル、マイクロソフトと共に電源管理の規格ACPIの策定にも当初から参加した。
ダイナブックは、現在はDynabook株式会社が製造・販売し、東芝コンシューママーケティングがアフターサポートを担当するノートPCのブランドである。1989年に発売された「J-3100SS」から使用された名称で、アラン・ケイが提唱した「ダイナブック」の概念から名づけられた。
初代J-3100SSは20万円を切る低価格と小型軽量な筐体が評価され、ノートPCの先駆けとなった。初期はIBM PC/XTベースで日本語表示機能を搭載していたが、1991年にPC/AT互換機に移行した。自社開発の部品を多数採用し、先行して新技術を投入することで他社に先んじた製品化を実現した。
1990年代後半の機種では、BIOS、チップセット、メモリ、ストレージ、液晶パネル、バッテリーなど主要部品を東芝グループ製品で構成するモデルもあった。電力制御技術の開発を通じ、ACPI規格の策定にも参画した。
ダイナブックは長きにわたり国内ノートPC市場でトップシェアを獲得し続けた。一時は米国でもDynaBookブランドで販売されていたが、商標問題から断念し、国内向けにダイナブックの名を残した。ダイナブックの名は東芝ブランド製品の中でも特に知名度が高かった。
まとめ
中古ノートパソコン市場には多くの有名機種が存在するが、まず、どんな機種があるのかを知ることが基本だ。これを知るだけでも、やみくもに選択しなくて済む。この記事で紹介する情報をしっかりと理解し、製品を比較する前提知識にしてほしい。