手の甲を上に向けて肘を軽く曲げる指を正面に出しながらタイピングをする。この姿勢が常識とされきた。
一般的なキーボードは、キーが平行に並んでいる。両手を正面に向け、手首がねじれ、左右の手が接触するほど近付け、不自然な格好で入力を行うことになる。その結果、腰や肩、手首に無理な負担がかかりがちだ。
指先だけの問題とあなどってはいけない。経絡の存在からもわかるように全身は連携しているため、異常な手の動きが全身の不調につながることもある。理解の浅い医療者たちにこの類の不調を訴えても、ただの思い過ごしと決めつけられるかもしれない。
健康を害する体勢でのタイピングに、誰も疑問を持たなかった。
不自然な姿勢を強いられることとなり、結果として全身に悪影響を及ぼす可能性がある。右手と左手を同一のものと捉えていることを前提に設計されているのが原因なのかもしれない。
通常の入力姿勢自体が身体に負担をかけてしまい、長時間の使用によって疲労が蓄積し、ユーザーの体調が悪化してしまうことは避けられない。
このような従来のキーボードの欠点を解決するための対策として、エルゴノミクスキーボードや、分割型のキーボードが登場している。
エルゴノミクスキーボード
エルゴノミクスキーボードは、キーボードの中央部分がくぼんでいたり、キーが放射線状に配置されていたりすることで、手首が自然な角度に保たれ、負担が軽減される。キーの配置や形状が工夫されていることで、タイピング効率も向上する。
エルゴノミクスキーボードは製品によって形状が違うので、人によって合う合わないが出てくる可能性がある。考えられた人間工学もその人にとっての最適解とは限らない。
分割キーボード
分割キーボードでは、左右のキーボード部分が物理的に分離されている。自身の体型や入力スタイル、手の自然な位置や角度に合わせて、両部分の配置や開き具合を調節できる。
右手は自然とやや左を向き、左手はやや右を向く傾向にある。しかもその傾きの程度は個人差がある。分割キーボードは、人間の自然な手の位置や動きを考慮した設計となっている。自由度の高い入力環境が実現できれば、手首が自然な角度に保たれ、より自然な姿勢での入力が可能となる。
不自然な姿勢を強いられることなく、腰痛や肩こりなどの症状を軽減できるかもしれない。では製品を以下にみていこう。
FILCO Majestouch Xacro M10SP
FILCO Majestouch Xacro M10SP 左右分離型 日本語配列 76キー CHERRY MX 赤軸 プログラミング対応 マクロ専用キー10個搭載 赤キーロック3個付 ブラック FKBXS76MRL/NB-RKL
FILCO Majestouch Xacro M10SP分離キーボードは、手間をかけずにエルゴノミクス・マクロ機能・高いカスタマイズ性を備え、快適な入力環境と作業効率化が実現できる。
このキーボードは左右に分割されたユニークな形状で、自然な腕の位置や角度で操作でき、肩や腕への負担を大幅に軽減できる。
10個ものマクロ専用キーを搭載し、ハードウェア・ソフトウェア両面からマクロプログラミングが可能。「FILCO Assist」ソフトでマクロを簡単に作成・割り当てられる。
レイヤー機能とDIPスイッチで、レイヤーを切り替えてキーの割り当てをも好みの設定に変更できる。耐久性に優れたPBTキーキャップを採用していて、長期間の使用に耐えられる。
Perixx PERIBOARD-624B
Perixx ペリックス PERIBOARD-624B US ワイヤレススプリットキーボード角度調整可能薄型メンブレンキーブラック US配列
Perixx PERIBOARD-624Bは、低価格かつエルゴノミクス&ワイヤレス性能を両立した分離キーボードだ。
左右のキーボード部分が完全に分離したデザインは、自然な腕や手の位置を保ちながらタイピングを可能にし、肩や手首への負担を大幅に軽減できる。ワイヤレス&角度調整可能 2.4GHz無線接続により、ケーブルの束縛からも解放される。底面のスタンドで、お好みの傾きに調整可能。
メンブレンスイッチは標準的な打鉄音と打鍵感。左右分割ワイヤレスキーボードとしては1万円以下と、リーズナブルで分離キーボード初心者にはチャレンジしやすい。
サイズが大型でモバイル性は低く、電池駆動のためランニングコストもかかる。打鍵音はメンブレンスイッチでスペックも標準的だが、分割型ワイヤレスという珍しい機能をリーズナブルに体験できる製品だ。
Kinesis Freestyle2
Kinesis Freestyle2 Ergonomic Keyboard w/ VIP3 Lifters for PC (9″ Separation)
Kinesis Freestyle2は、一般的なキーボードとはかなり異なる独特な構造になっている。
最大23cmまで左右が自由に開閉できるため、腕の開き具合に合わせ最適な位置に調整できる。扇状の配置も可能だ。平らなデザインと薄型化により、手首を極端に曲げる必要がなく、手首への負担を最小限に抑える。長時間のタイプ作業にも適している。
ブラウザの操作やコピー&ペーストなど、マウス操作を置き換えるホットキーが使いやすい。使う人はよく使うDeleteキーやEscapeキーが大きめにデザインされ、ミスタッチを防ぐ。
一般的なキーボードとは全く異なるレイアウトのため癖が強く、最初は非常に使いづらく感じられ、慣れるまでに時間がかかるかもしれない。
Mistel BAROCCO MD770
Mistel BAROCCO MD770 RGB JP メカニカル キーボード 有線接続 日本語JIS 88キー 左右分離型 CHERRY MX RGB赤軸 ブラック MD770-RJPPDBBT1
Mistel BAROCCO MD770は、メカニカル駆動の左右分割型キーボードだ。
左右のユニットが完全に分離しており、最適な位置と角度で腕を構えながらタイピングでき、肩や腕への負担が楽になったという声もある。高品質CHERRY MX RGB赤軸 定評あるメカニカルスイッチを搭載し、耐久性と質の高い打鍵感が得られる。赤軸は軽快な操作感が魅力だ。
フルカラーのRGBバックライトを備え、PBT二色成形の高耐久キーキャップはキートップ文字が消えにくい。PBTキーキャップを採用して長期利用でも美しい。マクロ機能を搭載し、キーの割り当て変更などのカスタマイズが可能。
分割型キーボードならではの快適性とメカニカル駆動の高い打鉄感を同時に実現している。マクロ機能など拡張性も備わっており、長期間使い続けられる良質な一台だと言える。
Kinesis Advantage2
Kinesis Advantage2 日本語配列モデル[KB600LFQ-JP]【キネシス アドバンテージ2・赤軸静音(ピンク軸)】
Kinesis Advantage2は、エルゴノミクスと機能性を徹底的に追求したキーボード。分離していないが左右のキーの位置が離れているという意味で分離キーボードではある。
Kinesis社と日本エルゴノミクス社の共同開発により、日本語配列に最適化され使いやすさを追求した。お好みの位置にキーを自在に割り当て直せ、効率的な操作性の実現が可能。4MBのメモリを搭載し、豊富なマクロの登録が可能。作業の効率化に役立つ。
左右分割型で最適な手の位置と角度で操作できる独特の分割エルゴノミクスデザイン は、腕と肩にかかる疲労を大幅に低減。静粛性に優れたメカニカル赤軸を採用し、長時間の入力でも疲れにくい打鍵感。
確かに最初は全く違う入力スタイルに戸惑うかもしれないが、慣れれば快適無比な入力体験が得られるはずだ。
まとめ
確かに腕や肩の疲労は軽減できるが、現状の常識的なキーボードの入力から分割キーボードに慣れる必要がある。または、慣れることなくギブアップする人もいる。自分の分割キーボードに慣れすぎてしまい、会社などの備品パソコンを使用する際に使いにくく感じてしまう欠点もある。メジャーではないためまだ価格も高めではある。