拡張カードとは、システムに新たな機能を付加するプリント基板のことである。パソコンパーツの中でも、製品が多く高価で個別に語られるグラフィックスカードだが、実は拡張カードの一種である。
グラフィックスカードは高度な機能を備えているが、CPUにグラフィックス機能が搭載されているなら装着しなくてもPCの使用は可能だ。
搭載を検討すべき主な拡張カードをみていこう。
- グラフィックスカード
ゲームやコンテンツ制作などで3D描画性能が求められる用途では、専用のグラフィックスカードを装着する必要がある。 - ネットワークカード
有線LANやWi-Fiなどの通信機能を追加することができるだろう。一部のマザーボードにはこれらが統合されている。 - サウンドカード
オンボード機能のみでは物足りない場合、より高音質な音声出力を実現するためにサウンドカードを装着することができる。
その他にも、TVチューナーカードやキャプチャカード、RAIDカードなど、用途に応じて様々な拡張カード選択肢が存在する。これらを適切に組み合わせ、自身のニーズにマッチした自作PCを構築することが可能だ。
本当に必要かどうか
拡張カードについて理解を深めるために、以下の点を踏まえることが重要である。
まず、拡張カードが本当に必要かどうかを見極める必要がある。
グラフィックスカードなどの拡張カードは、PCに特定の機能を追加するために使用されるものの、その必要性はユーザー個々の使用法によって異なる。不要だと思えば無理に入れる必要はない。
かつては、サウンドカードやLANカードなどの拡張カードがより一般的に使用されていた。マザーボードにそうした機能が統合されていなかったか、統合されていても低レベルな性能のものしかなかったためだ。例えば、5.1チャンネルサラウンドサウンドを再生したい場合は、拡張カードを介さなければならなかった。
近年のマザーボードでは、これらの機能がかなりの水準で統合されるようになってきているので、拡張カードがなくても特に困らない。
そのため、自身のニーズに合致する機能がマザーボード上で提供されているかを事前に確認しておこう。自身の用途を的確にして、本当に必要な機能なのかを見極めていこう。
拡張カードの選択
拡張カードの選択においては、マザーボードに十分な拡張スロット数が確保できるかを確認しておこう。
ミニITXフォームファクターのマザーボードを使用していない限り、余ったPCIスロットが存在するはずである。
しかし、構築するシステムに搭載を予定している拡張カードの数に対して、マザーボード上のPCIスロット数が十分かどうかをよく確認する必要がある。
PCIスロットには複数の異なる規格が存在しているため、単に物理的なスロット数だけでなく、それらのスロットがカードをサポートできる仕様になっているかもチェックポイントだ。
一般的なPCIeスロットとは別に、従来のPCIスロットやPCI-Xスロットなども存在する。また、近年はM.2スロットやU.2などの新規格も加わっている。マザーボード製品ごとに、対応する規格やレーン数が異なることがあり、拡張カードが適切に動作するかどうかはこれらに依存する。
マザーボード上で利用可能なスロットの物理的な数だけでなく、スロットの種別、サポートしている規格などの仕様も合わせてマニュアルを調べてつつよく確認しておいたほうがいい。
ファンコントローラー
ファンコントローラーは、特に優れた冷却性能が求められるゲーミングPCの構築時に検討すべき追加機能の1つだ。
AeroCool タッチスクリーンLEDファンコントローラー Touch1000 EN55338
ファンコントローラーパネルとは、通常はケースの正面にある光学ドライブベイの1つに取り付けられるデバイスである。
ダイヤルやボタンが備わっており、これらを操作することで内部ファンの回転数を手動で調整できるようになっているのが特徴だ。優れた冷却性能を実現したい場合には、負荷に応じてファン回転数を上げることができる点で有用であろう。
ファンコントローラーを追加する際には、使用するマザーボードがそれをサポートする機能を備えているかどうかを確認しておく。マザーボード側でファンコントロール用の端子や制御回路が実装されていないと、ファンコントローラーは正しく動作しない可能性がある。
カードリーダー
ストレージカードリーダーハブは、一部のユーザーにとって便利な追加機能となり得る。
Kingwin USBハブ 3.0 USB-Cポート1個付き SDカードリーダー マイクロSDカードリーダー SATA電源ポート 最大5Gbpsの高速データ転送 5.25インチ コンピューターケース フロントベイ ブラック (KW525-3U3CR)
このハブには通常、SDカード、USBフラッシュドライブ、MicroSDカードなどを挿入するためのスロットが搭載されている。ケースの正面にある光学ドライブベイに設置する方法と、拡張スロットを利用してケースの背面に取り付ける2通りの方法がある。
ケース正面の場合は、頻繁にストレージカードを使用するユーザーにとって操作性に優れている。ケースの光学ドライブベイ数が限られている場合は、背面取り付け方式を選択することになる。
ストレージカードリーダーハブ自体は自作PCにとって必須の機能ではないものの、一定の利便性を提供してくれる付加装置である。
ネットワークカード
ネットワークカードは、マザーボードに統合されているネットワークポートの性能が不十分な場合に、アップグレードの選択肢となり得る。
例えば、IntelのGigabit Pro/1000CT PCIe Desktop Adapter OEMバージョンは、ネットワークパフォーマンスを向上させ、生産性を高める選択肢となる。
別売りのネットワークカードを用いることで、マザーボードの内蔵ポートよりも高速な有線LANに接続できるメリットがある。ネットワーク転送速度の制約を受けやすいタスク、例えばデータ転送や動画編集、オンラインゲームなどの用途では、ネットワークカード搭載によるスループット向上効果が期待できる。
純粋にネットワーク性能の向上のみが目的であれば、無線LANなども選択肢に含まれる。Wi-Fiルータの通信規格やバンド、アンテナ数といった仕様によっては、有線LANを上回るパフォーマンスを発揮する可能性もあるためだ。
このように、ニーズに合わせて有線LANカードと無線LANカードを使い分け、柔軟にネットワーク環境を強化できる。