自作パソコンのケースサイズ選択は、PC構築における重要な要素の一つだ。
ケースサイズの選択にあたり、使用目的に合わせて事前に収納するパーツの種類と数を見積もる必要がある。ゲーミングPCであればグラフィックカードの数やラジエーターのサイズを、動画編集PCであれば大容量HDDの数を考慮する、といった具合だ。
最適なケースサイズを選択して、機能性とコストのバランスの取れたPCを構築してほしい。
PCケースのサイズ
Mini ITXからフルタワーまでさまざまなケースサイズがある。同じフォームファクター内でも製品によって形状や大きさは異なるが、共通する部分がある。
フルタワー(E-ATX)
フルタワー(E-ATX)ケースは、標準ATXケースよりも大型であり、市販ケースの中で最も高価な部類に入る。E-ATXケースは主にゲームやサーバー用に設計されており、大型のグラフィックカード、水冷ラジエーター、多数のケースファンを搭載できる広々とした内部空間を備えている。
フルタワーケースは通常、後部に2つ以上、最大4つの拡張スロットを有し、前面に2基以上のファンを装備可能だ。これらの大型ケースは主にE-ATXおよびATXマザーボードに適合している。
ミッドタワー(ATX)
ミッドタワー(ATX)ケースは、もともと単にタワーまたはATXケースと呼ばれていたが、E-ATXの登場後、フルタワーとミニタワーの中間的なサイズを示すためにこの名称が使われるようになった。
ミドルタワーケースは選択肢が最も多く、コストパフォーマンスも最良で、それなりのコストで高品質のケースを手に入れられる可能性が高い。ATXケースは通常、ATX、Mini-ITX、Micro ATXの各マザーボードを搭載できるようになっているが、念のためサイズの確認はしておこう。
MicroATX
MicroATXケースは、スペースに制約があるユーザーや、高性能グラフィックスカードや水冷装置を必要としないユーザーに適している。MicroATXケースも様々なスタイルと価格帯があるが、小型だからといって必ず安価でシンプルであるとは限らない。
MicroATXケースを使用するには、他の2つのサイズと比較して、より細心の計画が必要である。ATXやE-ATXケースに収まるグラフィックスカードや大型CPUクーラーは、MicroATXケースには収まらない可能性が高い。
MINI-ITX
MINI-ITXは、4つの主要ケースフォームファクタの中で最も小型である。キューブ型だけでなくミニタワー型もあり非常にコンパクトで、持ち運びが容易だったりする。
ITXケースには特殊なITXマザーボードを使用する必要があるが、多くのモデルでは中型サイズのグラフィックカードの搭載が可能である。ITXフォームファクターは比較的新しいためスタイルの選択肢はやや少ない。
どんなポイントを重視するのか
初心者にはミドルタワーがサイズ、予算、機能のベストバランスとなる。ゲーミング目的であれば、最初からE-ATXケースを検討しておこう。
良いケースを選びたいなら、少なくとも120mmまたは140mmのファンを2つ搭載、USB、オーディオなどの使いやすいフロントパネルを備え、金属製、という点に注目する。金属製でも金属が非常に薄いケースでは耐久性に乏しくダメだ。ツールレスでの開閉が可能で、取り外し可能なドライブベイも持っていることが重要だ。
少し古いモデルだが、評価の高いThermaltake Core V31の内部を見て、ケースの特徴をいくつかチェックしてみよう。

Thermaltake Core V31 PCケース CS5059 CA-1C8-00M1WN-00

Thermaltake Core V51 TG ミドルタワー型PCケース [強化ガラスモデル] CS7121 CA-1C6-00M1WN-03
V31は販売終了となり、後継がV51のようである。V51はE-ATXにまで対応し、拡張性は抜群。組み立てやすくV31同様に評判もいい。
プレインストールされたファン
Thermaltake Core V31 ケース内部には、前面と背面にそれぞれ1つずつ、合計2つのファンが組み込まれ、ケース内のエアフローを確保し、熱を効率的に排出する。
さらに、ケース上部と底部には、2つの追加ファンを取り付けるためのマウント穴が用意されている。必要に応じて、冷却性能をさらに向上させられる。
ケーブルやパイプ用の切り欠き
ケース背面と側面パネルには、ケーブルや水冷パイプを管理するための切り欠きが多数設けられている。これらの切り欠きを利用して電源ケーブルや水冷パイプをスマートに配線し、ケース内部をすっきりと整理できる。
ツールレスのドライブトレイ
上部にはオプティカルドライブ用のトレイが、下部にはHDDトレイがあり、ともにツール不要でサムスクリューを使用した簡単取り付け設計となっている。
拡張スロット
拡張スロットもケース内部に装備されており、こちらもツールレスでサムスクリュー固定となっている。
このケースでは、電源を底部にレイアウトすることで内部スペースを最大限に活用している。ケース裏面にはケーブル固定クリップや防振マウントも用意されているなど細かな配慮も見逃せない。
このケースでは、ATXおよびMicro ATXの2つのサイズのマザーボードを取り付けるためのマウントが用意されており、必要に応じてライザーを移動するだけで簡単に対応できる。
Thermaltake Core V31は、優れた冷却性能、豊富な拡張性、洗練されたデザインを兼ね備えたミドルタワーケースの代表だ。このように細部まで配慮されたケースを選んでいこう。