フェドーラ(Fedora)は、レッドハット社が開発・配布しているLinuxディストリビューションの1つ。このような特徴がある。
- レッドハット社が開発を主導している
- 最新技術を積極的に取り入れた最新版中心の開発
- GNOMEをデフォルトのデスクトップ環境としている
- 6ヶ月に1度の頻度で新バージョンをリリース
- オープンソース・フリーソフトウェアを基本方針とする
セキュリティと最新技術を重視しているため個人向けデスクトップ利用に向いているが、新バージョンがリリースされる期間が短いんで、最新版へのこまめなアップグレードが必要な点にも注意が必要だ。
レッドハット
レッドハット系列の中では最も独自色が少なく、純粋なオープンソースプロジェクトとしての色彩が強いLinuxディストリビューションといえる。
フェドーラは、1990年代初頭から存在していたのだが、1995年に最初のリリースがあり、初期は Red Hat Commercial Linux という名前だった。当時は Red Hat のみで開発されており、コミュニティはバグレポートやディストリビューションに含めるパッケージの提案などに限定されていた。
2003年に Red Hat が Red Hat Linux の開発を終了し、Fedora プロジェクトに移行することでオープンソース化し、コミュニティからの貢献を受け入れられるようになった。
フェドーラの目標は、完全にフリーなソフトウェアシステムでありながら、最新のパッケージを提供することにある。当初は Fedora Core と呼ばれており、主要なソフトウェアリポジトリである Core と Extras のいずれかにちなんで命名された。
Fedora Core リポジトリには、ディストリビューションに必要な基本パッケージとそのインストールディスクに含まれるパッケージがすべて含まれており、Red Hat の開発者のみが管理していた。Fedora Extras リポジトリは Fedora Core 3 で導入され、コミュニティが管理し、インストールディスクには含まれていないパッケージが含まれていた。この仕組みは 2007 年のバージョン 7 まで続き、この年に 2 つのリポジトリが統合され、ディストリビューションの名前も Fedora に改名された。
フェドーラは、コミュニティの協力を得て、自由なソフトウェアディストリビューションを作成することを目的としています。プロジェクトの開発は、フェドーラプロジェクトによって監督、調整されている。
プロジェクトは、レッドハットが任命した4人のメンバーとコミュニティが選出した5人のメンバーで構成され、委員長はレッドハットが任命する。フェドーラは、およそ半年に1回のリリースサイクル、年に2回のリリースを維持するよう努めている。
各リリースは、次の2つのリリースが開始されるまでサポートされる。このサイクルは意図的に短く保持されているため、開発者は革新に集中し、最新の技術をディストリビューションに導入できるようになっている。
Fedora コミュニティの貢献
フェドーラの成功には、熱心なコミュニティの存在が欠かせない。コミュニティはさまざまな方法で貢献しており、その一つがサードパーティリポジトリのホスティングだ。
これらは公式レポジトリとは別に用意されたソフトウェア配布場所であり、公式レポジトリに含まれていないソフトウェアを利用することができる。
サードパーティリポジトリに含まれるソフトウェアは、さまざまな理由で公式レポジトリには収録されていないものが多くある。たとえば、特定の国の法律で制限されているマルチメディアコーデックや、Fedora の自由ソフトウェアの定義に合わないソフトウェアなどが挙げられる。
また、フェドーラは、Extra Packages for Enterprise Linux (EPEL) リポジトリも提供している。これは Red Hat ではなくてコミュニティによって作成された RHEL 向けのパッケージを含むリポジトリだ。
様々な分野向けのスピンディストリビューション
フェドーラはメインリリースのほかに、特定の用途に向けたスピンと呼ばれるディストリビューションも提供している。スピンは、ゲーム、セキュリティ、デザイン、科学計算など、さまざまな分野に焦点を当てた特殊なディストリビューションで、これらは Debian の Pure Blends と同様のコンセプトである。
スピンはさまざまな Special Interest Groups (SIGs) によって開発および維持されている。有名な例としては、100ドルノート PC として知られる OLPC が Fedora ベースのオペレーティングシステムを採用していることが挙げられます。
フェドーラは x86 や ARM などの主要なアーキテクチャに加えて、Fedora 20 以降は PowerPC や IBM s390 もサポートしている。また、Raspberry Pi 向けに最適化された Fedora Remix ディストリビューションであるPidoraも提供されています。
パッケージマネージャーの進化YUMからdnf
フェドーラのもう一つの大きな業績は、パッケージマネージャーのYUM (Yellowdog Updater, Modified) だろう。YUM は RPM (Red Hat Package Manager) に基づいており、自動更新と依存関係解決機能を備え、ソフトウェアリポジトリと連携してパッケージのインストール、アップグレード、削除を管理できる。
Fedora 18 以降、ユーザーは YUM のフォークである dnftool を選択できるようになった。dnftool は YUM よりも優れた依存関係解決能力を持ち、メモリ消費も少ないため、Fedora 22 以降はデフォルトのパッケージマネージャーとなっている。
フェドーラはコミュニティの貢献と革新によって支えられており、今後も進化を続けていくだろう。