UbuntuはDebianをベースとしたLinuxディストリビューションの一つだ。
Debianをベースとしつつ、使いやすさに特化し、初心者でも手軽に利用できるのがウリの超有名ディストリビューションである。
Debianほどの安定性や信頼性はないという意見もあるが、公式のGUIベースの設定ツールが豊富で、UnityやGNOMEなどのデスクトップ環境を選択できる。個人向けでは最もポピュラーなLinuxディストリビューションの1つで、初心者から上級者まで幅広く支持されている。
Ubuntuの起源
Ubuntuは、新規ユーザーを取り込むことに真剣に取り組んだ最初のディストリビューションである。Linuxの知名度を押し上げ、Linuxにまつわる偏見や誤解を一変させ、WindowsやmacOSに代わる現実的なOSとしての地位を築いた。
Ubuntuはマーク・シャトルワースによって立ち上げられた。シャトルワースはセキュリティ企業ThawteをVeriSignに売却した後、Canonicalを設立。彼はDebianプロジェクトの大ファンであったが、理想的なOS像との食い違いがあった。そこで、2004年4月、ロンドンの自宅に信頼するDebian開発者たち10人ほどを招き、Ubuntuプロジェクトの基礎を練り上げた。
そのグループは、Ubuntuの特徴をいくつか決定した。まず、UbuntuのパッケージはDebianのunstableブランチからのものをベースとするが、Debianと異なり、予測可能なサイクルで頻繁なリリースを行うこととした。具体的には、6ヶ月ごとにアップデートされたバージョンをリリースし、各リリースに9ヶ月間の無料サポートを提供するという計画だった。この計画は後に改良され、現在は4番目のリリースごとに5年間長期サポート(LTS)を提供している。
世界中のユーザーにアピールするために、ローカリゼーションとアクセシビリティを重視することにも合意した。デスクトップでの使いやすさとユーザーフレンドリーさに開発努力を集中させることもコンセンサスを得た。最初のUbuntuリリースは2004年10月であった。
Ubuntuの開発は、英国に拠点を置く民間コンピュータソフトウェア会社であるCanonicalによって資金提供されている。CanonicalはUbuntu関連プロジェクトの開発も支援している。例えば、UbuntuのUbiquityインストーラーは業界屈指のツールであり、閉鎖ソースまたは特許取得済みサードパーティソフトウェア(FluendoのMP3コーデックなど)のインストールオプションを提供するという特徴がある。
他にユーザー中心のプロジェクトとして、Ubuntuソフトウェアセンター、廃止されたクラウドホスティングサービスUbuntuOneがあり、現状を一変させようと試みてきた。
Linuxコミュニティをこれほど二極化させたテクノロジーは、UbuntuのUnityデスクトップインターフェース以外にないであろう。UbuntuはNetbookEdition10.10で初めてUnityを導入した。11.04の頃には、NetbookEditionはデスクトップエディションに統合され、UnityはUbuntuディストリビューションのデフォルトGUIとなった。
シャトルワースはUnityデスクトップがUbuntuのマルチデバイス戦略において重要な役割を果たしていると主張している。Unityは、コンピューター以外のスマートフォン、タブレット、テレビなどのデバイスでもディスプレイを標準化してくれるのだ。
柔軟性が高いおかげで、Ubuntuは特定の分野向けにカスタムディストリビューションを作成したい開発者たちに常に人気が高い。Ubuntuは他のどのディストリビューションよりも多くの派生ディストリビューションを生み出してきており、Ubuntu自体にもKubuntu、Xubuntu、UbuntuGnome、Edubuntu、UbuntuStudioという公式にサポートされている派生版が存在する。
メインのデスクトップエディションに加えて、グラフィカルデスクトップを搭載していないサーバーエディションもある。
Unity Lens検索の不信感
UbuntuはLinuxを主流メディアに押し上げ、コリイ・ドクトロウやスティーヴン・フライなど著名なユーザーを獲得してきたが、革新性にはデメリットもある。
この有名なディストリビューションは、UnityのDashに特定のショッピングサイトの検索結果が表示されるUnity Lensという検索機能を統合したことで大きな批判を浴びた。