
Linuxには無料のソフトが揃っている。Linuxの根本には「自由なソフトウェア」の精神がある。商用ソフトウェアのコスト負担に悩むユーザーに提供される優れた選択肢だ。

Linuxのソフトウエアの大半が「オープンソースソフトウェア(OSS: Open Source Software)」である。これは誰でも自由にソースコードを読み、改変、再配布できるライセンスで公開されたプログラムを指す。
無料だからといって侮れない。高度な機能まで備わったソフトは、初心者の入門用途からプロフェッショナルの実務まで幅広い要望に応えてくれる。Linuxユーザーなら、このオープンソースソフトウェアをうまく付き合うことが要求される。
ソースコードが公開されているため、セキュリティ面での信頼性も高く、商用ソフトウェアに引けを取らない。
無料で利用できるが、ソースコードが公開されていないソフトウェアは「クローズドソースソフトウェア」または「商用ソフトウェア」として分類される。無料だがソースコードが非公開のGoogle Chromeはクローズドソースソフトウェアの典型である。
「プロプライエタリソフトウェア(Proprietary software)」は商業的な所有権が強調され、使用や配布の許可はライセンス契約に基づいて厳密に管理されている。商業的な利用が主な目的となっている。無料ではなく収益を上げるために販売されることが多い。Microsoft Windows、Adobe Photoshop、NVIDIAドライバが代表である。
オープンソースソフトウェアは、ベンダーに依存せず、要望に沿った機能のカスタマイズや、独自の改良を施すこともできる柔軟性も大きな魅力だ。
商用製品と同等以上の機能を持つ無料のツール群を提供する。その中でも代表的なものがある。
LibreOfficeは Microsoft Officeと互換性を保ちながら、文書作成からプレゼンテーション資料の編集まで実務で求められる一通りの機能を備える。
画像編集ソフトのGIMPはAdobe Photoshopの代替として、プロのデザイナーにも広く使われる。レイヤー機能や豊富なフィルタ、プラグインによる機能拡張など、創作活動に欠かせないツールを無償で利用できる。3DCGソフトのBlenderは映像制作の現場でも採用され、モデリングやアニメーション制作、レンダリングまでをカバーする。
開発者向けには統合開発環境のVisual Studio Codeやバージョン管理システムのGitなど、実務で使用頻度の高いツールが揃う。システム管理者向けにはネットワーク監視ツールやバックアップソフト、セキュリティ診断ツールなど、運用管理に不可欠な製品群を取り揃える。プラグインやアドオンを追加することで機能を拡張できたりする。
新しいソフトウェアに慣れるまでには時間がかかることがあり、マニュアルや日本語のサポートが限られている場合もある。有名なソフトは一度インストールして使用感を確認しておきたいところだ。
主要なソフトウェアはLinuxディストリビューションの標準パッケージとして提供されることが多い。
オフィス環境では文書作成とデータ分析に特化したLibreOfficeとカレンダー連携機能を備えたThunderbird。デザイン制作には画像編集のGIMPとベクター画像編集のInkscapeを組み合わせた環境を整える。音声編集にはAudacity。開発作業では統合開発環境のVisual Studio CodeとバージョンコントロールシステムのGitHub Desktopが有名だ。
これらのソフトウェアは長年の実績があり、安定性と機能性の両面で信頼できる選択肢となる。お気に入りのソフトを決めておいて一気にインストールすると早い。業務に応じて組み合わせを最適化し、効率的な作業環境を実現していこう。
Linuxでのソフトウェア動作は環境依存の制約を受ける。GNOMEデスクトップ環境に最適化された製品がKDEデスクトップで起動しないケースや、特定のライブラリが未インストールで動作不良となる状況は珍しくない。利用前にハードウェア要件とソフトウェア要件を入念に確認する姿勢が大切だ。
ソフトウェアの依存関係はインストール時の基本確認項目だ。オープンソースソフトウェアは多くのライブラリやパッケージに依存する。新規インストール時に依存するパッケージが不足すると起動に失敗する。
依存関係同士には相性の悪いものが存在するので、ソフトを多く入れたことによりと依存関係が競合し、不具合を起こす可能性が高まる。ソフトの起動どころか、PCそのものの起動ができなくなる場合すらある。ソフトが無料だから入れ放題だ、というわけにはいかない。
パソコンのスペックが低いと、特定のソフトウェアの動作に支障が出る。ゲームや動画編集、3Dモデリングなど、グラフィック処理が重要なソフトウェアはスペック要件が厳しい。CPUやGPUのスペックが低い、メモリ容量が小さいなどが原因で動作が不安定になるか、起動すらしないのは珍しくない。
デスクトップ環境に応じたパッケージを選択する。Ubuntu向けのパッケージをFedoraにインストールしても正常動作は期待できない。開発元が提供するインストールガイドに従い、推奨環境での導入を心がける。
不要なソフトウェアの存在は貴重なシステムリソースを圧迫する。ハードディスク容量の逼迫やメモリ消費量の増大はシステム全体のパフォーマンスを低下させるため、デフォルトインストールされた未使用のアプリケーションは積極的に削除しておこう。
定期的なパッケージリストの見直しで無駄を省く。複数の同種ソフトウェアは一本化する。PDFビューワーやテキストエディタは用途に応じて厳選する。自動起動設定された常駐アプリケーションは必要性を吟味する。実務での利用頻度が高いものに絞り込み、システムの軽量化を図ると良い。
導入のポイントは環境要件の確認と運用体制の整備だ。対応OSのバージョンやハードウェア要件を満たす環境を用意する。開発コミュニティのサポート状況やアップデート頻度も見極めておこう。